全6話のドラマを踏まえてからの劇場版は、過度なスケールアップをすることなく、それでいて「別にドラマの2時間スペシャルでも良かったよね」ってこともない、普段と特別が絶妙にブレンドされていた。
対象者に寄り添うという真っ直ぐな佳代のスタンスを幹に、連ドラから引き続きみどりや店長が自分なりの優しさで佳代を支えてあげるという変わらなさ、
佳代の過去に関わる滝本の登場と、現状の工藤の事件、次第に明るみになる佳代が保護司を志した理由。
工藤の事件はその背景や真相からして、もっとスケール大きく描いたら『加賀恭一郎シリーズ』みたいにもなるとは思ったけど、この作品はそういったことに焦点を当てるのではなく、あくまでも保護司阿川佳代がどんな時でも対象者に優しく、時に強く寄り添い続ける描写がメインなのが大切だと思う。
それでもマキタスポーツさん演じる刑事の追い込み方とかは雰囲気あった。
みどりは佳代の「弱いところが好き」とは言ったけど、それがかえって強調するかのように、佳代は強く対象者に寄り添っているというのもドラマを含めたこのシリーズの見所のひとつだと思う。
工藤役の森田剛さんは朴訥で負い目を感じつつも淡々と更正を積み重ねるかのように生きていく姿の演技がとても良かった。
最初の登場シーン、車の整備をしながら佳代に挨拶した時の「こんにちは」の一言に工藤の人となりが集約されてるように思えて「すごいな」と思った。