ぶみ

東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパートのぶみのレビュー・感想・評価

3.0
青山真也監督によるドキュメンタリー。
1964年、オリンピック開発のために、国立競技場に隣接して建てられた都営霞ヶ丘アパートが、今度は2020東京オリンピックのために移転が決定、そこに住む人々の姿を追う。
映像は、アパートに住む市井の人々を、インタビューなし、定点カメラのような演出で映し出し、ナレーションや説明するテロップもないため、通常のドキュメンタリーとして観ると、正直説明不足な感は否めないし、面白いものでもない。
ただ、だからこそ、そこに住む人々の、退去が目前に迫りつつも日常生活を送る息遣いが聴こえてくるものとなっている。
オリンピックに限らず、鉄道を敷設したり、道路を通したり、はたまた都市計画を推進したりといった華やかな舞台の裏には、必ず土地の収用や建物の移転等の事象が生じているのが世の常。
行政側は法に則って移転を迫り、移転補償を算出することとなるし、立退を迫られる側は、物理的にも精神的にも相当な苦痛を強いられることとなるため、お互いどこで折り合いをつけるかが、いつの時代も求められるもの。
そんな裏舞台を、立退を迫られる側の視点から如実に可視化させた一作。

最終的には強制執行。
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