てんさん

ディア・エヴァン・ハンセンのてんさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

コナーの家族のことを考えると、これは決して美談にしてはいけないし、絶対に許されてはいけない嘘だと思う。
この行為は、最低最悪極まりないと思う。

でも嘘だと認めてからのエヴァンの謝りかたは、結構良かった、と思う。

そこにいても誰も自分を見ていなければ、そこにいないのと同じ。
冒頭で、エヴァンはそう歌ってたね。

嘘を吐くことは誰にだってあって、
認めてもらいたい気持ちも、好きな人に好かれたい気持ちも誰にだってある。

僕だって普段はすましているけれど、
承認欲求は人一倍強いし、
全員に好かれたいと思っているし、
誰とでも気兼ねなく接することのできる人を羨ましいと思う。
自分が描く理想の自分になりたくて、嘘を吐くことだってあるよ。

ただ、越えちゃいけない一線っていうのは絶対にあると思うんだ。
エヴァンが悪い人間ではないことは映画を観ていればすぐにわかるけれど、今回は越えた。
絶対に越えちゃいけない一線を、限りなく遠くまで越えてしまったと思うんだ。

最後は世界中の人々から嫌われてしまって、今までと同じか、それ以上に孤独な生活に戻ってしまったね。

でも、存在を証明することができたんじゃないか、って僕は思うんだ。
嫌われているけれど、みんながきみのことを見ているじゃないか。
遠巻きに嫌悪の目で見ているじゃないか。
最初と違って、ちゃんと存在しているじゃないか!

“好き”の反対は”無関心”と言うし。
”好き”の反対は”嫌い”じゃないんだ。
この状況って、これってすごくチャンスだと思うんだ!

だってエヴァンは”嘘を吐いた最低の自分”を受け入れることができたんだから!
きっとこれからの人生は想像を絶するほど辛いものになるだろうけれど、前でも後ろでも進むことが大事なんだから!
自分を受け入れられてからが本当の勝負なんだから、ちゃんと存在しているんだから、盤面をまたひっくり返すことだってできるよ!人生これからだと思う!!
てんさん

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