ワイカ

パンケーキを毒見するのワイカのネタバレレビュー・内容・結末

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 上映時から気になってたのになかなか観れないと思ってるうちに、菅さんがあっさり退陣し、すっかり非主流派とか言われてる今さら観たらどうかと思ったけど、それなりに興味深く観れました。こういう政治系のドキュメンタリー映画は最近ようやく日本でも作られるようになってきて、それだけでも意義のあることだと思います。

 タイトルとジャケットから菅さん批判の映画と思いきや、いや確かに前半はかなり菅さんに時間を割いてるんだけど、後半はどちらかというと菅さんや安倍さんを通して日本の今の政治のおかしさを描いていて、いろいろ考えさせられました。

 菅さんの話はいろいろな本で知ってることばかりなのであまり見るところはなかったけど、赤旗新聞のエピソードは興味深かったです。桜を見る会のスクープは赤旗だし、機密費の闇も鋭く突いてましたね。共産党の機関紙だからというより、大企業の広告に頼ってないとか、編集の人たちがジャーナリズムを大事にしてるというのが伝わってきました。過去には北電のやらせ問題なんかもスクープしてましたね。そう考えると、今や権力と戦える信頼できるメディアは文春と赤旗しかないのではないかと思っちゃいます。

 それはさておき赤旗って共産党員にならないと入社できないんだ!機関紙だからそりゃそっか。聖教新聞も創価学会に入信しないと入れないのかな。

 あと終盤の大学生たちの「野党は批判してるとこばかり報道されてるから、悪口ばかり言う嫌な人たちと若い人にはうつってるかも」というコメントにはハッとさせられました。いまの若い人たちは、「批判」をネガティブなイメージで捉えるというのは、うちの会社のアルバイト大学生の子からも聞かされたことがありますが、なんでそんなことになってるのかと愕然とします。失われた20年に生きてる彼らはもっと政治に不満と批判を持ってていいんじゃないか⁉︎と思ったけど、そもそもそれ以前を知らないから今が当たり前で、批判自体がよく分からないってことなのかしら。

 何冊か著者を読んだ森功氏のルックスがわりとゴツくて意外でした。ネクタイ姿なのにあの首のタオルみたいなのは何?苦笑
 
 岩上安身さんの姿も久々に見たな。昔はとくダネ!にも出てたけど最近は元気なのかしら。頑張ってほしいです。

 ところどころに挿入したアニメは苦肉の策なのかなと思いつつ、ポップで見やすさを助けてました。

 今のような政治の惨状を招いてるのは国民の無関心という締めは、ありがちではあるけど基本的で大事な視点。政治に興味のない人に観てほしい作品です。有名な「羊の国家は狼の政府を生む」の引用は今の日本の問題点をまさに突いてると思います。
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