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ONODA 一万夜を越えてのoliveのレビュー・感想・評価

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
4.0
事実は小説より奇なりとは言うけれどこれほど過酷な人生を生きた人がいたとは。
秘密戦を使命とし即興 応用 自主性を重んじ、「君達は普通の兵士ではない。玉砕はまかりならん土を食っても生き延びろ」と命を受ける。なるほどこういうことだったのかと私の中で長く謎だったことが解けた。死ぬことを美徳とされいざとなったら自決せよ、全兵士がそう命ぜられていたと思っていた。名誉を求めずただ特命を受けて戦っていたひ人だったのだ。
ラジオからアポロの月面着陸を知らせる場面でハッとした、長い日々だとは思っていたけれどその想像を遥かに超える日々を積み重ねていた事実に愕然とする。
「君達の犠牲は誰も忘れてはいない」一人になった小野田はそう言うのだけれどその頃戦後高度成長を遂げ世界一の経済大国になった日本は平和が当たり前、彼らの犠牲などは殆どの国民には過去のことでしかなかった。
彼の戦争を終わらせる事が出来るのが上官の命令だけだった、その上官は過去をなかったことにして生きていかざるを得ない人で、説得に赴くまでには葛藤もあったことだろう。
価値観も何もかもが異なる異国のような祖国を見て彼は何を感じただろう?
ニュース映像で奥さんと二人ブラジルで暮らされる様子を見た記憶があるけれど理知的で紳士だった。
遠く外国で病に倒れ飢えて亡くなった数多の兵士を思うと言葉がない。
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