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ノイズのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ノイズ(2022年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

中途半端。キャスト陣、特に松山ケンイチがとても良い芝居をしているだけに勿体ない。話もいくらでも深掘りできて面白くなりそうなのに、あっさりと終わってしまう。離島で起こってしまった不幸な事件を隠蔽したことから起こる悲劇の連鎖。こんなに面白そうなテーマなのに!離島の閉鎖性の描写が本当に下手くそなのが致命的。こんなテーマなのに緊張感が全然無いんだもの。

余貴美子と柄本明がコントみたいなテンポで死ぬシーンだけは笑った。でもあれ多分笑わせる意図では撮ってないんだろうなぁ。いっそのこと全編あのノリのブラックコメディにしてしまえばよかったのに。永瀬正敏と伊藤歩の刑事コンビは、すごく漫画的なザ・刑事でリアリティゼロ。

藤原竜也が悪いのか演出が悪いのかわからんが、あいつの挙動、おかしすぎないか。殺人を犯しているのに警察の前で平然としていたり、かと思えば突然いつもの藤原竜也の感じで取り乱してみたり。きれいなスライディング土下座は笑うところでいいんだよね?キャラクターに一貫性が無さすぎて、むしろこいつが心のサイコパスだったというオチの方がよほど納得できたと思う。子供の「ヒマワリが咲いていたから遊園地に行きました」の話もすごい感動的な空気でラストに使われているが、全然ピンとこないしどこで感動したら良いのかよくわからない。何で花が咲いていたからって遊園地に行こうと思ったの?テンションが上がったってこと?

神木隆之介は本当にただの無駄死に過ぎて、せめてそのせいでもっと純(松山ケンイチ)が葛藤するとか、そういったシーンが必要だったと思う。原作では自殺未遂をするも一命をとりとめているらしく、ここを変更してまでただただ後味を悪くする必要があったのかは疑問。

実は純が圭太(藤原竜也)を陥れていた、というのがオチなのだが、これが全体の話と全然上手く噛み合っていない。そもそもきっかけである殺人は、不幸な事故だったとはいえ完全に圭太のせいなのだ。それで最終的に圭太が捕まるのはただの自業自得であり、純が策を練ろうが関係ない。例えばあえて殺させるような方向に仕向けていたとか、もしくは何か事を起こそうと思っていた矢先の事故だったとか、その辺の背景が必要だったのではないだろうか。部屋の壁いっぱいに圭太の妻である幼馴染の写真を貼りまくっているという演出もゾッとした。チープすぎて。今どきこんな手垢の付きまくったダサい演出するかね。大体、あんな閉鎖的な離島でいつ誰が部屋を訪れてもおかしくないのに、せめて立ち入り禁止指定をしている屠殺場とかの方がマシだったのでは。そもそもわざとらしい回想シーンや意味ありげな表情をした純を映すシーンが定期的に挟まるので、意外性すらないという残念さ。

気がついたらこれ以外に廣木隆一監督作品をもう6作品も観ていたのだが、☆3.0が1つ、☆2.5が3つ、☆1.5が1つ、☆1.0が1つといった有様だった。今回も合わせると自分の平均スコアは残念なことに2.1。どの映画もテーマがかなり良さそうなので毎回観てしまい、その度にガッカリしている(今回もそうだが、多分原作とかテーマの良さで評価を+0.5くらいしていると思う)。もう今回で自分には合わないと見限って、観るのをやめたほうが良いのかもしれない。
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