アギゴン

ニトラム/NITRAMのアギゴンのネタバレレビュー・内容・結末

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1996年にオーストラリアのタスマニア島で起きた銃乱射無差別殺人事件を元に制作された実話。

🌟ほぼネタバレ⚠️自分の備忘録



マーティンは知能障害を持つせいで、周囲の子供たちから「ニトラム」と呼ばれて、からかわれ虐められていた経験から、その呼び名で呼ばれることが何よりも嫌だった。(マーティンを逆から読むと「ニトラム」となる)
幼い頃から突拍子もない事をしでかし、イタズラで無数の花火を放ち火事を起こしてしまうと言う過去も…。
大人になってからも、周囲に迷惑をかけてしまう奇行を続けマーティンの年老いた両親は頭を抱える毎日。精神が時折昂り激高してしまうマーティンに母親は、主治医から「薬にだけ頼るのは良くない」と言われても、精神安定剤を欠かすことなど考えられなかった。

ある日、マーティンはふと衝動的にサーフィンをやりたくなって、サーフボードを買おうとしたが、母親からもらったお小遣いではとても買えなかった。
マーティンは考えた挙句、家にあった芝刈り機を持って、他人の家を訪ね歩き、芝を刈る仕事をし始める。突然の訪問と不躾なマーティンの態度にほとんどの家が気味悪がって断る始末。しかし、大きな屋敷に沢山の犬や猫と暮らしていた独り身のヘレンと言う初老の女性だけがマーティンの申し出を受け入れて、マーティンは彼女の元で仕事をすることになった。
これがきっかけでマーティンとヘレンは仲良くなり、まるで親子の様に共に時間を過ごすようになり、マーティンはやがてヘレンの屋敷に移り住むようになる。
両親の心配をよそにマーティンは
ヘレンとの生活を楽しんでいた。
そんなある日、ドライブ中ヘレンが運転していた車はマーティンの悪ふざけのせいで、誤って事故を起こしてしまい、マーティンは怪我を負い、ヘレンは亡くなってしまう。彼女亡きあと、彼女の所有する財産、家屋は全てマーティンに託される事となった。
このことにより、マーティンの生活は一変し、彼の中で歪んだ欲望が走り始める…。

☆感想☆

この作品は前知識無しに鑑賞したため、実話だと言うことは知らず、
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ主演とあって鑑賞しました。
35人もの尊い命を奪った無差別殺人事件。その悲惨な殺戮シーンを私は想像してしまったのですが、この作品は、事件そのものよりも、その事件に至るまでのマーティンの心理状態を追った作品となっていました。
マーティンの生きずらさ、マーティンの両親の苦悩が描かれていて
正直気の滅入る映画でした。
そしてヘレンはなぜマーティンに財産を残したのか…そこだけはよく分からないところでした。
ヘレンとの出会いが、マーティンにとって心の安らぎであったようですが、またこの出会いが後にあの事件に通じる1つの要因のように思えました。

凄惨な事件のニュースが家の中から薄く流れるのを、外のデッキに座り、背中で聞いていた母親の表情に色々な思いを感じてしまいました。

ケイプの演技は凄かった〜。
マーティン本人にかなり風貌を寄せていました。
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