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ニトラム/NITRAMのakariのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
3.7
ニトラムが自分の気持ちを上手く消化できないことや、自己嫌悪を抱えていることに胸が痛かったと同時に、ご両親、特に最後までニトラムを見捨てず寄り添うお母さんが可哀想で印象的でした。 

作中で年齢が明言されてないけど、心労で年より老けて見える設定ですよね…?

お母さんが食事の時に話す生地やさんのエピソードのようなことが、終わらない日常の中で幾度も繰り返され、身体の大きさや腕力は両親をどんどん超え、衝動性は本人にも誰にも止められないというのが、もう言葉がないし、答えがない…。

現実には、こういう子だと最悪、無理心中になる結末もあるのだろうし、環境や周りとの相性がよく良い方向に落ち着けることもあり、結局運なのかなと思わざるを得ない。

重いテーマだけど陰鬱になりすぎないのは、オーストラリアの広く空間の空いた家々、クラシカルなインテリア、広大な自然、海…と景色が美しいから。グロいシーンを入れていないのもよかった。

結末が分かっていても目が離せない作品でした。調べると事実と違う箇所もあるらしいので、本作は映画として、実際の犯人とは切り離して観るほうが良さそう。
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