takanoひねもすのたり

パリ13区のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
3.6
グラフィック・ノベリスト、エイドリアン・トミネの3つの短編が原作(未読)

物語の舞台は再開発地区の13区。高層住宅が立ち並び、アジア人街があり、国立図書館があり、アニエスベーが運営する文化複合施設がある。開発目覚ましい地区。
登場人物は
・エミリー 台湾系フランス人 女
・カミーユ アフリカ系フランス人 男
・エマ 30代、大学に復学 女 
・アンバー 元ポルノスター、現カムガール

モノクロでシャープな映像、そのくせセックスの場面ではいいようのないエロスが漂う。
(また仏映画の有名どころをオマージュしている場面があるそうだけど不勉強でピンとこず)

監督が言うには『以前は同性愛の CPを描くことは難しかった』『エマとアンバーの脚本は(燃ゆる女の肖像の監督)彼女にまかせたんだ』
ということだったそうで。

『燃ゆる』にあった、見る⇒見られるという構図は今回の作品にも当て嵌まる構図があった。

エミリー、奔放だけどウェット。ルームメイトのカミーユと早速セックス→しかしカミーユにとってはエミリーは恋愛対象じゃないと言われ不機嫌に。

カミーユは、遊び/本命を分ける人間でエミリーは本命じゃない。
理知的で落ち着いてグラマラスな女性が好み。
本命の恋人(予定)を連れ込んだら、エミリーから嫌味と皮肉を言われ……ついにカミーユはルームメイト解消し出ていってしまう。

エマは大学へ復学したものの年下の学生達に戸惑い、パーティで金髪のウィッグを付けて参加したところ、元AV女優に激似、彼女=本人の噂を流され結局大学をやめる。

この騒ぎの時、エマは教授の質問に『……人間として見てもらえず……』的なことを答えており、SNSでネタとして消費されることを答えていたようなもの。

エマは噂のアンバーのサイトを訪れ、そのうちお互い親密さを増し毎夜チャットで会話を重ねるようになる。

そんなこんなの4人が織りなす恋愛物。
物語そのものはわりとオーソドックスなものだと思いますが、現代ならではなTinder(マッチングアプリ)でさくっとセックス相手とマッチして相手にも満足してうきうきで(バレエのステップ)で仕事場に戻るエミリー、割り切りドライ(つかアプリの正しい使い方かも知れぬ……)

カムガールと友情から恋情へ変わるエマとアンバー、いつもモニター越し、夜中のみ、という関係性が、最後に陽の光の下で会うという結末も良い。

なんだかんだエミリーのゴネ得のようなハピエンのエンディング。
カミーユが根負けしたというか 笑

結末に不満はないけど、このふたり価値観がやらがかなり違うので、そのうち別れそうだなーという予感だけは満載。
(あとカミーユがち◯軽なのもある)

ということで、仏映画詳しい方なら刺さるだろう作品でした。
サントラ良かった。