Punisher田中

わたしは最悪。のPunisher田中のレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.7
学生時代は成績優秀。
アート系の才能や文才もあるのに、決定的な道が今ひとつ見つからない。
いまだ自分の人生を思うように走れていないユリヤ。
そんな彼女には漫画家として成功したひと回りも年上の恋人アクセルがおり、将来的には妻や母といったポジションを勧めてくる。
様々な物に板挟みになったユリヤはある夜、招待されていないパーティに紛れ込むと、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。
新たな恋の勢いに乗って、ユリヤは今度こそ自分の人生の主役の座をつかもうとするのだった...


30代前になってからもう一度観たい作品。

自分の経験不足を思い知り、また5年後や10年後に観たいと思う作品は誰しもあるだろうが、正に自分の経験不足を思い知ることとなったのが今作。
何もかもが中途半端なユリアが多くを犠牲にして成長するストーリーには残念ながら全く僕には共感できなかった。
言うなれば、「食べて祈って恋をして」のブラック版といったところか...
人を振り回して振り回して、用済みになったらポイ。そして興味が湧いたらまた拾う。他人の気持ちを踏み躙って好き勝手しといて...といったものをあまり楽しむ気持ちでは観られなかった。
でもきっと、人間は破滅し続けることで成長し続けることが出来るし、""破滅した""という過去があるからこそ頑張れるし自信に繋げられる。
良い体験も勿論そうだが、今作の様なネガティブな体験こそが1番自身を形作る糧となる物なんだなと学べたような。

なんとも言えないこの不快感と同時に今作を許容出来なかった悔しさが滲み出てきて、「まだ年しか取っていないガキなんだな」と、自分自身の未熟さと今作は向き合わせてくれた。
変にボロクソ書いてしまっているが、類い稀な演出力と表現力でアラサー女子のリアルな恋愛をファンタジックに描いている凄く良い作品だと思う。
心と身体の愛を凄く深いところまで見せていると思うし、言葉では言い表せないリアルな愛をしっかり映像で表現出来ているし、北欧のアート作品を見ているかの様な綺麗な色彩構成と画創りに、120分を13編に渡って送るエリック・ロメールの様な感じはとても面白い。
単なるアラサー女子の成長物語を特徴的でアイコニックなキャラクター等を使わずにここまで魅力あるものに仕上げるのは凄いし、舞台であるオセロの街がとても魅力的に感じられた。

まだ、クソガキなので僕には理解が至らなかったが、30代近くになっても何が幸せなのか、何をすれば良いのかわからない。ただ、迫り来る不安に襲われている。そんな方には是非とも見て欲しい作品でした!!(結構濡れ場が多いので、苦手な方は気をつけて!)