masahitotenma

わたしは最悪。のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.5
「リプライズ」と「オスロ、8月31日」から続くヨアキム・トリアー監督の「オスロ三部作」の第3作。
成績優秀でさまざまな才能があるのに進むべき道が見つからない30歳の女性が、新たな恋と自分の人生をつかもうとする物語。
カンヌ国際映画祭女優賞受賞。
原題: Verdens verste menneske
(2021)

物語は序章、12章、終章からなる。
【序章 】
・30歳の主人公のユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は、成績優秀で医大に入ったもの、興味は直ぐに心理学に転向。その次は写真と、一向に人生の方向が定まらない。
付き合う相手も定まらなかったが、グラフィックノベル作家アクセル44歳(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と恋に落ち、同居を始める。
【第1章  ほかの人々】
・アクセルの家族と会ったユリヤは、子どもにうんざり。
【第2章  浮気】
・招待されていないパーティに紛れ込み、若いアイヴィン(ハーバート・ノードラム)に出会う。
"これって浮気?"
【第3章  #MeToo時代のオーラル・セックス】
"立つ前が好き。突っ込まれるのじゃなく、私が強さを「創る」"
【第4章  私たちの家族】
・誕生日に来ない父。
【第5章  バッド・タイミング】
・勤めている書店にアイヴィンが偶然現れ、再会。
・彼の職場"オープン・ベイカリー"に会いに行き、公園のベンチで朝を迎える。
・アクセルに別れを切り出す。
【第6章フィンマルクの高山】
・アイヴィンの妻は山で環境問題に目覚める。
【第7章  新しい章】
・アクセルと別れ、"セクシー・ヨガ"の彼女と別れたアイヴィンと新生活を始める。
【第8章ユリヤのナルシスなサーカス】
・"マジック・マッシュルーム"で倒れる。
"あなたとは自然体でいられる"
【第9章ボブキャットXマスをぶちこわす】
・アングラ・コミックは女性を冒涜?表現の自由?
【第10章文明への批判】
・アクセルが末期癌で入院していることを知らされる。
"クリスマスの話は君の家族だろ"
【第11章陽性】
・妊娠判断キット
・アクセルに会いに行く。
"あなたになら何でも話せる"
"君は最高だ"
"形のある"物"の文化の中で育ったからかも知れない。直接触れあえたからこそ、そういうものに惹かれるのかも"
"僕に後悔があるとしたらそれは、君に自信を持たせてやれなかったことだ"
"行き詰まると君は別れる"
・アイヴィンに妊娠を告げる。
【第12章すべてのものに終わりがある】
ーほっとする。
【終章】
"じゃあその気持ちのままで"

ユリヤがオスロの街を横切ってアイヴィンに会いに行くシーン…二人以外のすべての動きを止め、恋人二人だけの時間にすることによって、ロマンティックなファンタジーになっている。

~監督のコメントから~
「長期にわたるパートナーを見つけるには複雑な時代だ。でも、それには一種の自由という前向きな点もあるよね。現代の女性は結婚する必要も、ある程度の年齢で子供を持つ必要もない。その一方で、僕たちは恋愛において成功しなければという、大きなプレッシャーを感じている。難しいね。自由は複雑だ!」

自分に正直に生きる現代女性を演じた、映画初主演のレナーテ・レインスヴェは、若い女性を中心に共感を得るだろう。
彼女を愛する魅力的な男性2人も好演。
ところで、先進国と呼ばれる国々で、現代の若者が、男性も女性も、子どもを望まなくなった根源的な理由は何だろうか。
"子どもを望まない"って、本当に"前向きな"自由なのだろうか?
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