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コンパートメントNo.6のおっとっとのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
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期待あんましないで見たこともあったけど、相当良かった。
先週みた「prayers for the stolen
」では主人公がハグを拒否し、本作では主人公がハグを拒否され、
今週みた「playground」はハグで始まりハグで終わる映画だった。

映画の中においての抱擁は、何かを融解させる行為、並びに関係性を曖昧にさせ、つまり抱擁の拒否は、二つの人物の関係性を際立たせる、もしくは立場を逆転させる、融解への拒否を表す。または個そのものへの固執だと思う。

と、前置きは置いておいて、
同性のパートナーを持つ主人公が、少々破天荒なブルーカラーの男と夜行列車で共に旅をする、というお話ですが、ここで、同性のパートナーを持つ、と言い、レズビアンという言い切りをしないのは、バイセクシャルな可能性も往々にあり、そして同時にそれは知らされるものでもなく、ストーリーテリングにおいて「何でもかんでも観客に教えなくても話しは問題なく進む」という事実を本作は器用に伝えている。

そして、その主人公からハグをされた男は拒否するのである。それはもしかしたら同性愛者への嫌悪かもしれないし、慰めへの拒否かもしれないし、本当は欲しかったが、ただの強がりかもしれない。それも真意は分からない。しかし。その事実で、はっきりとふたりの関係性が変化するのである。

あと好きなところは、
夜行列車のマジの汚い狭い感じをそのまま切り取り、(といううかどうやって撮影した?!)
そして、本当の目的地でのあの爆風に晒される音!!!を荒々しくそのまま使用している大胆さ。

ずーっとどこか不満そうな不安そうな顔の主人公が心から笑った瞬間。ええ役者や〜
ラストのオチも良き。
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