エッフェル塔が出来たのは、元カノへの対抗心のおかげ?
エッフェル塔を設計・建設したエッフェル社の代表者であるギュスターヴ・エッフェルを主人公に、エッフェル塔が出来るまでを彼の恋愛譚ともに描いた、マルタン・ブルブロン監督のドラマ映画。エッフェル塔が出来るまでの大筋での経緯は史実に基づいているが、アドリエンヌとの恋愛に関する部分は創作である。
ロマン・デュリスが好きなので普通に面白く見ることができた。さすがにエッフェル塔の建設というテーマだけで映画を一本撮るのは難しいので、恋愛を絡めるという脚本は成功していると思う。エッフェル塔の形がアルファベットの A に見えるのは... というこじつけも洒落ている。それでも驚くほどの内容ではないので、一度見れば十分だろう。それにしても、実在した人物を描いているのに、よくこれだけ大幅な脚色が許されたものだと思う。
ヒロインのアドリエンヌを演じているのは、エマ・マッキー。映画の中では、エッフェル塔を建設している現在(1886年)と、エッフェルがボルドーで働いていた26年前の若い頃が交互に描かれるが、ロマン・デュリスの実年齢が現在(1886年)のギュスターヴ・エッフェルの年齢に近いのに対して、エマ・マッキーの実年齢は26年前のアドリエンヌの年齢に近いという配役なので、作中で二人が同年代に見えないところは御愛嬌。それでもロマン・デュリスはそれほど不自然ではないが、現在のアドリエンヌを演じるために年齢相応の落ち着きがあるように演じているエマ・マッキーはどこか不自然で、最初は魅力をまったく感じなかった。若い頃を演じるエマ・マッキーは可愛かったけど、やっぱりマーゴット・ロビーに似ている。
・ギュスターヴ・エッフェルの娘クレアも実在する人物。娘の結婚の話が出てくるが、その相手が後のエッフェル社の社長になる。
・エッフェル塔の建設に対する反対運動について少し触れているが、確かにいきなり見たこともないような(当時は奇抜とされた)外見のタワーがパリの中心に立つことを考えたら、景観が損なわれると反対する人もそりゃあいるだろう。
・建設中のエッフェル塔に登って作業をするシーンとかが出てくるが、高いところが嫌い自分にとっては、映像で見るだけでクラクラしてしまう。実際に、茨城の竜神大吊橋で腰が抜けた経験がある。
・エッフェルさんが作ったからエッフェル塔というような人の名前を冠した命名は欧米では全然珍しくないが、日本でほとんど見かけないのは個人主義的な考え方に否定的だからだろうか。「東京タワー」が「前田タワー」だったら、今のように愛されなかったかもしれない。