jun2km

リバー・ランズ・スルー・イットのjun2kmのレビュー・感想・評価

3.7
フライフィッシングってしたことないけど、なんて美しいんだろう。太い釣り糸の流れと風を切る音にしばし心が奪われた。自然と対話するかのような、このシンプルで artistic な釣りは、何世代にもわたって、名もなき人から名もなき人へと伝えられてきたんだ…。
学生の頃、北海道から屋久島までの沢を何本も遡行したことがあります。水流の速さにもよりますが臍下まで水流があると、うっ!からだが浮く!流される!って感じでした。作品中のブラックフット川もけっこうキツそうな流れでしたが、さすがブラピ!余裕でしたね。
劇中、こんな感じのナレーションがありました。
「ひとの行為が美しさをつくりだす。でも、ひとはあっという間に、この世からいなくなり、ひとがつくった art だけが残り続ける」
その言葉でちょっと考えてしまいました。わたしは今、生きています。わたしだけやなくて、他のひとも同じ。何年か何十年かしたら、すべてのひとが新しいひとと入れ替わっていくんやろなぁ。わたしは、この世界に生き、そこで感じた「美しさ」をあなたに伝えたいです。
最後にひとこと。こんな美しい世界で、ときの流れと対話しながら、本人は意識してなくても、人の行為を過去から未来へ繋ぐために伸びやかに糸を振っている人がいるんですね。これからは県内の川の上流とかで大きく竿を振ってアユ釣りしてる老人(やはり年季は必須!)とか、尊敬してしまいそうです。
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