ヴィクトリー下村

アリスとテレスのまぼろし工場のヴィクトリー下村のレビュー・感想・評価

3.7
岡田麿里監督の作品はこれまで観たことがなかったが、今作はSNSで試写を観た人の熱量が凄かったのに興味を持って鑑賞。

事前情報を何も知らない状態で観たので途中の展開には驚かされたし「これはどうなるんだろう?」と話に引き込まれた。

閉じ込められた世界で行き場のない若者の鬱屈やモヤモヤが蓄積されていくという舞台設定は好き。
だからこそ全員大人しいし良い人ばかりなのが違和感。

純粋に疑問なんだけど、この世界って時間が止まってるとはいえ記憶や経験は蓄積されてるんだよね?
しかもけっこうな年月を繰り返しているから中身は立派な大人だと思うんだけど、いつまでも全員あんなピュアな感じでいられるものなのか。

あんな閉塞空間で退屈な日々を繰り返してるならSEXしまくってそう。

こういう疑問が一つ浮かんでくると他にも色々疑問が湧いてくる。自分が読み取れんかった気もするけど、そこら辺が腑に落ちない。

監督がこういうシチュエーションの作品を描きたかったというのは分かるけど、脚本が都合が良すぎる印象を抱いた。

否定的な文面になったけど物語には引き込まれたし80年代な雰囲気は好き。後、この手の作品って終盤「主人公側 vs それを止める側」の二極構造になりがちだけど、皆それぞれ自分の信じることをするという描き方も好きだった。