柊

異動辞令は音楽隊!の柊のレビュー・感想・評価

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)
3.7
見終わって思った事は、阿部ちゃんも歳をとったけどいい意味で貫禄がついていい俳優さんになったなぁって事。
そして、磯村勇斗と最後のシーンで、阿部ちゃんの大きさがよくわかった。体格ね。

あれだけ荒ぶっていた成瀬が、音楽隊でチームワークとか口にしだした時は早すぎるだろ!って思ったけど、まぁ映画だしサクサク進まないとね。
離婚に認知症の母に絶縁宣言の娘にと踏んだり蹴ったりの日々。男社会の警察の中でもこれまでみたいな暴走も左遷の原因となるなど、昭和世代の刑事にとっては何ともやりにくい現場になってしまったようで気の毒にしか見えなかった。他にも昭和世代いっぱいいるのに対応できてないのが成瀬一人みたいなのもちょっとアレだけど、まぁそこは目をつぶる。
家の玄関に、認知症のお母さんの為に張り紙でいろいろ書いて貼ってあるのがなんとも切ない。特にお父さんはもう死にました。は胸が痛んだよ。

そんなやさぐれた成瀬に違う世界を見せてくれたのは音楽隊だけと、その一番の要因はきっとあの最後に殺されてしまったご婦人の「ごきげんよう」と言う言葉だったんじゃないかな。新人でミスばかりの成瀬を励ましてくれた言葉。そして去り際に発せられた成瀬にはこれまで全く縁のなかったごきげんようと言う言葉。
そこから春子とのセッション、さらに思いがけない娘とのセッション。
成瀬が和太鼓やってたとは言え、意外に最初からそれなりだったのは時間の尺の問題で、あの物置で頂き物のドラムを死に物狂いで練習したと思うけど、練習風景もう少しあってもよかったかな。

警察音楽隊の存在が果たして本当に税金で維持するほど重要かどうかの是非は確かにあるのだろうと思うし、まさか現場叩き上げの刑事が嫌がらせで音楽隊に飛ばされることなど無いと思うので、あんなにドラム上手になっちゃってむしろファンタジーだけど、そこは成瀬演じる阿部ちゃん。力でねじ伏せた感じでした。

ヒゲダンのエンディング曲必要無しと思ったのは私だけ?
むしろ音楽隊の演奏でエンドロールでよかったのに。
柊