荒澤龍

戦場のピアニストの荒澤龍のネタバレレビュー・内容・結末

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

・ユダヤ人ピアニストを主眼にしているためか、映像の美しさに圧倒される場面が多かった。一方で、セットや演技が作り物めいていてリアリティにかけると感じてしまい、全体的にやや醒めた視点となり没入できなかった。
・主題が重いため、気合いを入れて見始めたのもあって肩透かしを喰らった感が否めない。
・ただ、シュピルマンを演じるエイドリアンブロディの無言の強さ、何も言わない演技には説得力があった。

・実話に基づいているため難しい部分もあるが、フリがよく効いている映画が好きなので演出の部分でもう少し工夫があるとクライマックスに向けて感情移入しやすかったかなとおもう。
・具体的には序盤にピアニストとしていかに優れているかという演出がもう少し欲しい。ユーモラスな家庭であるが最後まで実話であることを知らずに観ると、やや軽さを感じる演出ともとられてしまうから(実際に自分はそう思ってしまった)実話に基づいているというのは冒頭に持ってくるべきだ等々。

・シンドラーのリスト鑑賞後、ナチス関連でこちらの映画を観た。そのためどうしても比較的な評価になってしまう。
・内容としてはシンドラーのリストよりやや易しめ。前提知識がなくてもわかるようにしてくれている部分が多い。それも手伝ってかシンドラーのリストの重厚さと比較すると、特に序盤はもはやポップとも言えるくらいの軽さがあった。それは後半にかけてどんどんシリアスになっていく展開のよりフリになっているとも受け取れる。
・戦争の爆撃音とピアノサウンドの静寂がコントラストになって美しい。
・時代が大きく異なる映画なので、技術面等で単純な比較は難しいのかもしれないが、本作は芸術点を昂めた結果、過剰な演出が逆に白々しく感じる場面もありこの評価とした。
荒澤龍

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