すず

戦場のピアニストのすずのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.2
ポーランド人ピアニストのシュピルマンが、ドイツ軍の迫害から逃れて必死に生き延びたお話。

第二次世界大戦真っ只中のワルシャワ。
ドイツ軍がポーランドを侵略し、シュピルマンとその家族は、収容所に連行される事に。
しかしシュピルマンだけは、知り合いの警察官へラーに救われるのです。
1人残されたシュピルマンは幾度となく難を逃れ、様々な人に助けられながら生き延びます。
しかしポーランド人が蜂起を起こし、隠れていた建物を爆破されてしまうのです。
シュピルマンは、住む場所も頼る人も失ってしまいます。
そんなある日、廃墟で食料を漁っていると、ドイツ軍将校に見つかってしまうのです。
死を覚悟したシュピルマンにかけられた言葉は、「ピアノを演奏して欲しい」という意外なものでした。
それからホーゼンフェルトは密かにシュピルマンを援助します。
しかし連日ソ連軍からの攻撃を受けるドイツ軍。
ドイツ軍敗退を確信したホーゼンフェルトは、最後に食料とコートをシュピルマンに渡し、戦争が終わったら必ず彼のピアノ演奏を聴くと言い残して去ってしまいます。
しかしその後、ホーゼンフェルトが彼の演奏を聴くことはありませんでした。

ドイツ軍の容赦ない迫害。
人もを人とも思わない扱いに悲しくなりました。
至る所に転がっている死体。
初めはそれに怯えていたシュピルマンですが、徐々にそれが普通になっていく様子がとても辛い…
匿ってもらった家に置いてあったピアノ。
弾きたいけど音を出すと見つかってしまう。
弾いてるふりをしているシュピルマンの姿に胸が痛くなります。
偶然出会ったドイツ軍将校ホーゼンフェルト。
ユダヤ人を助けると死刑になるという状況の中、シュピルマンを助けます。
悲惨な戦場に響くピアノの音色。
とても美しく、とても悲しい音色でした。
ホーゼンフェルトが人の心を忘れていない人間だったのか、シュピルマンの演奏で心が動かされたのか。
いずれにせよ、あのような状況で生き延びる事が出来たシュピルマンは本当に強運の持ち主だなと思いました。
芸は身を助ける。
しかしそれほどまでに、シュピルマンの演奏が素晴らしいものだったのでしょう。
廃墟と化した街と美しい音色があまりにもミスマッチで、悲しさを助長させます。
これが実話だというのにとても驚きました。
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