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The Son/息子のmanamiのレビュー・感想・評価

The Son/息子(2022年製作の映画)
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昨年春頃に話題になっていたのも記憶に新しい作品。
主演は私の長年の推し、ヒュー・ジャックマン。彼演じる仕事のできる弁護士ピーターが、妻ベス(ヴァネッサカービー)と生まれて間もない子どもと暮らす家にある日突然、前妻ケイト(ローラダーン)がやって来る。そして彼女の元に残してきた息子ニコラスの様子がおかしいと、ピーターに伝える。
一方でピーターは、離れて暮らす父親との間に、亡き母をめぐるしこりを抱えてもいる。
とまあ、なかなか複雑な家庭事情ね。
最初に嫌悪感を抱かされるのは、前妻ケイト。不倫の末に妻子を捨て、家を出て行ったピーターもそりゃもちろん問題あるけど、子どもの前で父親の悪口を言ったり、自分から離れようとしている息子にしつこく連絡したりするのは止めてあげてほしいよな。その上前夫の前で泣き出すし、幸せだった頃の思い出話を始めるしで、情緒不安定きわまりない。彼女こそセラピー受けた方がいいよ。
かと思えばピーターにもベスにも、リビングでイチャついたりキッチンでモメたりするのダメでしょうがと、これまたイラつかされたり。
特にピーターがニコラスにかける言葉には、なんともやりきれない気持ちになる。理由ばっかり聞かないで、説明ばっかり求めないで、学校の話ばっかりしないで、断定しないで、否定しないで、って、彼と息子との間に両手を広げて立ち塞がってあげたくなるわ。
大人達の都合で振り回されたと不満をぶつけるニコラス。17歳でこの環境は確かに辛いだろうが、どうやら彼の心にはもっともっと暗くて重い闇が積もっているよう。そんなヒリヒリとした痛みを、ゼン・マグラスの好演によって満ち満ちと染み込ませてくる。
彼らのあの会話シーン以降、洗濯機が特別な意味を持ってくるのが上手いし、怖いし、辛い。

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