まえじま

流浪の月のまえじまのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.2
2022年58本目。

重く苦しく、でもとても綺麗な映画でした。

李相日監督で主演に松坂桃李、面白くない訳がない。

この映画を通してとても感じたのは本当に脇役全員余計なお世話。2人が幸せなら良いじゃない。どちらにも精神的・身体的被害がないのならそれを禁ずる法は果たして正しいのか。

最近観た「死刑にいたる病」でも阿部サダヲが演じていた殺人鬼は孤児や虐待を受けている子供は他に逃げ場がないからこそ狙いやすいと言っていたけど今作もそういう子達に適切な対処をせず幸せをやっと掴んだら法律という形式上なもので奪い取っていく。誰がこの子達を救えるのか。当人からしたらふざけんなよという話。

でもこう思いながらも実際このような事件が起きたら深く内情を知らないのに気持ち悪いという感情が湧いてしまうかもしれない。被害者と加害者という枠組みで見てしまうかもしれない。だからこそ難しい題材と思った。

横浜流星のDV彼氏ぶりもとても生々しくて自分も行動を顧みようと思った。自分がふとした行動がハラスメントに繋がるかもしれない、付き合っているからって相手の気持ちがわかるわけでもないし、一つ一つの行動を理性的に行う大事さを感じた。

映画としてもとても作りが上手でした。
150分は少し長くは感じたけど2人の世界にキチンと入り込み、心情を理解するなら不必要なシーンは一個もなかった。「パラサイト」の撮影監督ということもあって撮り方がとてもアートで一個一個のカットに芸術性を感じた。
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