不乱苦

ARGYLLE/アーガイルの不乱苦のレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
2.5
昔の少女漫画を思い起こさせるような映画。ストーリーももちろんそうなんだが、演出の現実離れした感じとか色使いとか……と書いてると誉めているようにも読めてしまうかもしれないが、決してそういうわけではない。
つまらなくはないし、ところどころ面白く観たのだが、話は凡庸だし、ちょっとうんざりするシーンもあるし、もうちょっとどうにかならなかったのかと惜しい気持ちが残ってしまう。
冒頭は良いのだ。ヘンリー・カヴィルとデュア・リパの対峙、カヴィルとジョン・シナのバディシーン、アリアナ・デボーズもカッコ良い。しかし彼ら・彼女らは空想の人物で、オープニング以外ではちょっとしか出てこないのだ。この出だしを見た後では、ほぼ独りで物語を進めるサム・ロックウェルの力不足感がつらい。なので、劇中劇の登場人物でスピンオフが制作されたら観たいかもしれない。
同じようにヒロインが作家という設定の映画「ザ・ロストシティ」も同じようなノリだったが、こちらの方がはるかに満足度が高かったのは、チャニング・テイタムの魅力が強かったのだろう。ジョン・シナとサム・ロックウェルが入れ替わっていたら、もう少し上手くいっていたのかもしれない。
あと、露骨にレーティングを意識しているのがわかるぐらいに流血が全くなく、刺しても斬っても撃ち抜いても一滴も流れず、拷問を受けてボコボコに殴られても赤く腫れるだけ。流石に不自然すぎる。ここまで出さないなら、いっそ傷口から花びらでも吹き出して欲しいぐらいだ。
あちこちVFXも安っぽく見えたし、なんか色々上手く噛み合ってない感じがした。

もう一つ付け加えると、猫の扱いがひどい。ファーストシーンから主人公が脇に抱えて運ばれてるし、本編中は基本リュックに入れっぱなしで自分の足で歩くシーンはほとんどなし、飼い主の都合で連れまわし、ビルの上から落とされるわ、リュックに入ったまま床に落とされるわ、散々な目に遭わされるわで、とにかくかわいそう。猫が逃げ出して飼い主パニック、からの、自分本位で遊び回ってた猫が最後に偶然合流し、結果的に主人公を助ける……みたいな、そういうわけにはいかなかったのか。一回主人と離れた時にそれが可能だったはずなのに、まんまと敵に人質に取られるが、あんまりその効果もなし。CGだろうけど、こんな程度の使い方なら猫出す必要ないだろ。
不乱苦

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