トロプリ劇場版。
ハートキャッチプリキュアとの客演があるので、春のヒープリ映画と同じ括りに入る作品ではあるが、ゲストとの絡め方が雲泥の差だった。
唐突にシャンティア王国という国に招かれ、王女シャロンの戴冠式に出る事になったトロピカる部の面々。そこで同じく招待されたつぼみ達4人組と出会い意気投合するものの、戴冠式の中で王女の様子が急変する…。
トロプリ自体の作風でもあるが、明確に敵と呼べる悪玉が存在しない。シャロン王女と対峙するプリキュア達だが、終始歩み寄りの物語だった。
その中で世の不条理と心の傷にどう向き合うか、という重さがこれまで観たプリキュア映画には無いものだったと感じる。
デザトリアンではないが、王女の背景はハトプリが戦ってきた心の問題そのものだった。
もう少し、シャンティア王国の幻想感やシャロンの行為に独善性が見えればより感情移入出来たかもしれず、そこが薄味だった点に惜しさがあったものの、観賞後女児が号泣しているのを観て狙いはハマっているなと思えた。
そして、別の席から聞こえた声が、
「春無いの?」