旅するランナー

i aiの旅するランナーのレビュー・感想・評価

i ai(2022年製作の映画)
4.0
【森山未來&マヒトゥ・ザ・ピーポー監督舞台挨拶付上映】

パンクでファンキーで破天荒な生きざま。
上映前にあった舞台挨拶での、監督によるコメントや立ち居振る舞いから、感性に訴えかける類の作品だろうなと推測しました。
結果、全くそのとおり、ブッ飛んだ中に、美しいセリフや詩情あふれる風景が描かれ、攻めた作品になっています。

ギターをかき鳴らしながら「Eコードは平等や、差別がない」。
死について語る「空から海の匂いがする」。
観客に向かって投げつけられる「エンドロールが終わっても共に生きよう」
そんな言葉が心にブッ刺さります。

出演陣も、なぜか、豪華です。
森山未來、永山瑛太、小泉今日子、さとうほなみ、コムアイ、吹越満など。
未來&瑛太のシュールな絡み、キョンキョンによる歌なんかも見どころです。

それと、地元、神戸から明石あたりがロケ地になっています。
空と海と山と都市と街の境界線が曖昧なこの土地を愛する人には、エンドロールが終わっても、監督の残留思念を感じる取ることができるでしょう。
スクリーンから出てくる風を自分の風と混ぜ合わせてほしいそうです。

<舞台挨拶コメント>
マヒトゥ:
・今日は久しぶりにロケ地を巡礼してきた。江井ヶ島(明石市の西側)にある、ここに出会えたから頭の中にあったこの映画が具体化した場所にも再訪した。この映画が生まれた場所と言える。
・風景の中に確かに存在していた人たちがいた。この映画は、そういう存在、亡霊たちを描いている。消えてなくなった感覚を手放さない。

森山未來:
・神戸は風のある街。村上春樹「風の歌を聴け」、松本隆「風をあつめて」もある。松本さんは東京では感じられなくなった風を、まだ感じられるということで、神戸に移り住んだらしい。そんな風がたゆたう街を感じてほしい。
・神戸は坂が多く、映像が立体的になる。