二瓶ちゃん

グレタ ひとりぼっちの挑戦の二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

3.6
本作を自主上映する関係で鑑賞。

環境映画を求めている人にはあんまり向かない作品かも。環境問題とかもそうなんだけど、そういう人はアルゴアを観ればいい話であって、今作はグレタという少女に対するドキュメントの側面が強いと思った。何気ない等身大の彼女の理解のような感じ。まぁ、アスペルガーであるという彼女を撮ったのはすごいが、環境問題とか全然関係ないシーンも割とあったと思う。

彼女は人間より動物が好きなのかな〜とか見てて思った。あと、生活が豊かだから、本当に生活的に配慮してるのか?消費に身を重ねていないか、という視線も向けて観たけど、縄文ライフの上はないから、まぁ彼女にできる範囲のことを彼女はしてたけど、まぁそれでもすごいと感じさせた。

私のグレタに対する認識は、「口だけ動かす人」から、「しっかり行動する人」に変わった。
抽象的な発言をして、様々な人を挑発する存在ではなく、具体的なデータを示していると感じた。まぁしかし、持病のこともあるからどうしても攻撃的な印象を受けてしまいがちな人なんだと思う。

邦題の通り、終始彼女はひとりぼっち。んまぁ、ちょびちょび父親とか母親とか味方になってくれるんだけど、基本的に世界は敵ばかり。
今作をベースに彼女が何と戦っていたのかをまとめてみると、初めは未来に向けて改善しない政治家や保守層だったんだろうと思う。
でもそこから彼女に甘い言葉をかけて応援するだけの人たちにも牙を向けていると思った。
それは彼女を政治利用したり、あるイメージのために使う政治家もそうなんだけど、1番私が感じたのは、彼女のストライキに影響された沢山の若者たちにも向けられていると思った。
ストライキこそは行動だから、何もしないよりはマシなんだけど、果たして声をあげるだけの空回りになっていないだろうかと、各国のストライキ風景を見て思った。

まぁ、環境問題に限らず、キャンペーンや運動と呼ばれるものは、日本的な感覚の言葉で言うなら「神輿」に集約されると思う。神輿を持ち上げるだけ持ち上げて、その神輿が注目されなかったら、すぐに次の神輿を持ち上げに行くような。そんな、一過性の話題として取り扱われてしまう人間の苦悩が見える作品だとも言えるかも。

環境映画としてはどこか足りない。彼女のことを知るための映画という要素もあるため、序長に感じるシーンも多い。しかし、みんなが口だけで動く時代の中で行動を示そうとした彼女。最後の方のヨットでの渡航もさることながら、本当にひとりでも彼女はがんばっている。そんな彼女の姿を観れば、何かしなければ、という気になったのでこの評価。

出演者の欄にある人たちは半分以上ちょい出演です。