Stella

LAMB/ラムのStellaのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見終わった時は不思議な感覚に包まれた。あのマリアの表情は何を意味していたのか…

映像の美しさと果てしなく拡がる自然の中で心なしか空気も澄んでいるように感じた。ここまで入り込めるのは画面の大きさと映画館で見る特権

今までに感じたことのない感覚に包まれる。それだけでもこの映画の価値はある


最後のあれは「バフォメット」という"山羊の悪魔"ではないかと言われて考察の旅が始まった。アイスランドの話なのであれば、北欧神話の精霊の可能性もあると思って調べてたら、ギリシャ神話の自然と豊穣の神「サテュロス」の要素もあるかもと思った。彼は踊りが好き。
そう考えるとみんなでダンスするシーンや弟がドラムを叩いてるのを見つめるアダに納得。

更にサテュロスには男根のイメージもあるから、羊たちに自分の子を産ませようとしているのかも。

弟の存在意義=盲目な夫婦に対する他人から目線の挿入+
マリアへのアピールシーンで性的な部分を暗示、その他にもありそう…聖書読むか。

冒頭の馬や羊が怯えるシーン、地響き、犬や猫の目線などを考えると、動物にとっても脅威の存在であり、それを彼らは感じとっている。人間ほど愚鈍な生き物はいないからね

「タイムトラベルはできるらしい」
「過去にも戻れるの?」マリアは過去に行きたいみたいだな、と思ってから、お墓のシーンで夫婦のアダに対する態度が腑に落ちる。
2人の抱える喪失感。だからすんなり受け入れた。半羊人間のアダちゃん🐏可愛いので、私でも普通に受け入れてしまうと思うけど😄

聖書の中における猫は、人間の最高と最悪の特性の象徴。嫉妬、怒り、獰猛さなどを含む。猫を抱いたアダはJesusが猫を抱いてる絵と重ねてる?


マリアが親羊を射殺して、この羊人間を自分たちの娘、アダとして育てる為なら何をしてもいい!となり、その業の深さに全てを失った。に落ち着いた。ずっと監視?見守っていたんだね。

鬼子母神を思わせるおとぎ話。
そして、その母の名前がマリアという皮肉


映画にこんなに余白を残してくれるなんて!監督の手腕に恐れ入った。伏線が明らかすぎなくて見終わった後もなかなか離れられなかったもの。
なんか、よくわかんなかった、不思議だったなぁ〜と終わらせるのは簡単なんだけど、そこであれはどういう意図?と疑問に思った事を調べ、他の人の感性を取り込んだり、熟考したりすることで、自分なりの答えを見つけていく。そして、未開の境地に辿り着く。この感覚やめられない!
これが今の日本教育に足りない勉強の仕方だと思う。大人になってもいつだって、学びの瞬間は転がってる。


アイスランドや北欧の人たちの想像力の高さには毎度、驚かされるし、観客側に求められる読解力。私もそれを瞬時に感じ取れる域に達したい。未熟者は経験を積みます。
Stella

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