エイコ

LAMB/ラムのエイコのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.7
すこぶる変な映画だった。
寓話的ホラーとでもいうのかな。常に不穏な空気と悲しみのようなものが流れている。
ストーリーも素っ頓狂。

広大なアイルランドの牧羊地で、登場人物は夫婦と、夫の弟と、そして羊のアダだけ。
生まれてきたアダに何かがあることは推測できて、一体この子は何なの?と興味を引っ張っておいての真実。「ギャーー!!」って思う人いるのかな。少したじろいだけれど、その後はあまりにも可愛いアダに釘付けになってしまった。

始まりはクリスマスだし、すべてのシーンが何かのメタファーか、もしくは聖書的な意味があるのかなとは思ったけれど、私には全く汲み取れなかった。

それでも映画を堪能できた。あまりにもすべてが美しかったから。広大な自然に隔てられた、浮世離れした彼らの生活。他人には絶対に理解されないであろう幸せが、とても愛おしく思えた。

ある視点から見れば、彼らは自然の摂理に反してとても酷いことをしてしまった。だからこの物語は動物を犠牲にして生きている私たち人間に警鐘を鳴らしているのかもしれない。でも、本当は何も意味はないのかもしれない。深いのか浅いのか、皆目分からない。
とにかく私には意味が汲み取れない映画。だけどなぜか結構好きな不思議な映画だった。
エイコ

エイコ