1994年にデビューし大傑作1st・弩傑作2ndアルバムを送り出したオアシスが1996年8月11日・12日の2日間、計25万人を動員した野外ライヴを決行。その当時の空気感を伝えてくれるドキュメンタリー。制作総指揮にはギャラガー兄弟とのことで(とは言っても兄弟はおそらく同じ場で打ち合わせとかはしてないだろう)、音楽ドキュメンタリー鉄板のリスナー(観客)視点の話と一緒に演者視点の話も差し込まれているのが嬉しいポイントです。
ライブ参加までのチケット争奪戦とか現地までのアクセスの悪さとか列並びに苦戦する話とかは置いといて、肝はやはりライヴ映像。労働者階級からの成り上がりというサクセスストーリーに庶民的ストレートな歌詞とキャッチーなメロディな楽曲群が作る熱狂具合、この世の全てのごちゃごちゃしたものを軽くいなすような立ち振る舞いで芯が通ったような歌唱をするリアムのカリスマ性が遺憾なく映されている点において評価せざるを得ません。個人的にいいと思ったのは「リブフォーエバー」のコメントを副音声的に取り入れつつ演者と観客両方を並ばせたり交互に映したりという本作のような形態だからこそできる演出です。
一点気をつけておきたいのは本作の進行は当日のセトリ通りに進まないという所。数曲丸ごとカットとかクソかよとFワードを投げるのは待ってほしい。本作は「2日間」を2時間尺で映すため「1日目でピックアップした曲」と「2目でピックアップした曲」は被らないような構成になっています(補足:若干例外曲あり、1日目と2日目はセトリが同じ)。ちゃんとした流れで聴かせろという人は別作品を手に取ってもらうとしてドキュメンタリーとして当時の2日間の美味しい所をなるべく網羅しようとする構成は上手いと思いました(最初は自分も「客のワンダーウォールのコメント取り上げといて曲は丸々カットすんのかよ…」と落胆しそうになりましたよええ)。てかですね、オアシスの楽曲を知らない人にもお薦めできるんですけど、知っている人が見たらこのライブ通してのちょっとした違和感みたいなものを感じると思っていてそれがラストにニクいフォローで回収されていてそれが良い!ラストまで見なければならない!
兄弟の諍いは今だに解けず。だけど当時炎上するほど対立してたノエルとデーモンが数十年後に仲良くなるという事件が起きるわけだし、兄弟個人個人のインタビューを見てるとディスったり認める所は認めているような発言が聞けたりと、1stの30周年は再結成できなかったけど2年後の2nd30周年には何かがある気がする。いや絶対、…多分。