このレビューはネタバレを含みます
田んぼアートを見る為だけにタワー作るわけないだろ(正論)
秘密のケンミンSHOW大好き誰得うどんです。
先に書いておくと、冒頭の10分ほど遅刻していたため導入に観れていない部分があります。
その前提でどうぞ。
その昔、埼玉解放戦線の麻美麗(Gackt)は、埼玉の心を一つにするため、埼玉を東西に繋ぐ武蔵野線の開通、そしてその路線の真ん中の越谷に海を作るという計画をぶち上げる。その海に白浜の砂を敷くべく和歌山を目指すも船が難破。着いた関西では京阪神・主に大阪が関西一円を牛耳っており奈良・滋賀・和歌山県民が被差別県民として酷い目に遭っていた。そんな中、海岸で倒れていた麗は滋賀解放戦線の桔梗魁(杏)に助けられ運命的なものを感じる……いっぽう現代の熊谷ではアキラ100%が……的な話。
あらすじ書くだけでカロリーが高いな?
まあ今回も全編「バカだなあ」という話で、バカをGacktと片岡愛之助がバチバチのメイクで、お耽美なシーンもギャグにならず本家(原作じゃなくて)顔負けの美しさでやるってのが素晴らしいシリーズです。
前述のシーンで言うと桔梗は麻美の弟だった!はベタ中のベタですし、「煮ても焼いても抱いても」はパタリロ的なノリの実写化、それよか制作陣も推しシーンと思われる片岡愛之助がGacktの口のソースを舐めるシーンは怪演でしょう。とても50代同性同士の画ヅラとは思えない。
その他、小ネタで一番刺さったのはゆりやんレトリィバァのチャリチョコ。上映時期的に「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」にカブせてきたのだと思いますが、まさかそこでカブせると思わんやん?ほんでなんか伏線でもなくて絶対にいらんシーンやったやん?ズルない?
次に鳥人間コンテスト。琵琶湖といえばこれだという関西人の共通認識が分かっててさらに出すタイミングが絶妙。関東の人って琵琶湖でやってること知ってるんだろうか。
さて、気になったところがまず一つ。ストーリーに絡む地名が今回マジでムズい。ざっくりとした地名以外に出てくる「マイアミ浜」と「行田」、これがどこにあるのかわからない。ちょっとマイナーすぎる気がする。前者はともかく後者は行政単位で否定して本当に申し訳ない気持ちではありますが、大阪人からすると埼玉の地名は天気予報でよく写ってる熊谷、川越、浦和、川口、所沢、鴻巣、あとうーん、となってしまい、滋賀も花火大会には行くんだけど、まあ湖水浴なら近江舞子とか、出てきた白髭神社もギリ分かるなという感じで、前者は叙述トリックまで仕掛けられているのに拾えなかったのが申し訳ない。
翻って、大阪ネタの物足りなさ。いや、「大阪ネタ」という点では充分な量ですが、「関東の人の思う大阪」で止まっていて深さと新しさがない。一番細かったなと思ったのは「アレ」ネタ(撮ってる時に決まってた?)と、「岸和田勢はだんじりを優先するので来ない」というくだり。都構想・大阪万博は最新の話題としてはありますが、けっこう関西だと意見が割れていて人前で触れづらい話題なので、微妙な気持ちに。また、予告シーンにもある乳首ドリルが流行ったのもめちゃイケの頃なので地味に10年近く前だし、さすがに今「大阪の粉モン」を語るにはりくおじの存在は不可避でしょう。
一番引っかかったのは加藤諒のポコポコヘッドです。ポコポコヘッドの音が死んでいます。故・島木譲二の大阪名物ポコポコヘッドは、灰皿を2枚重ねないと音が出ないんです。これは内場勝則や辻本茂雄も舞台上での暴露を繰り返しており、晩年の島木譲二お約束のくだりでした。これが◯阪パウダーの効果で「見た目だけ真似る」という効果なのだというならば否定はできませんが、わざわざパチパチパンチではなくポコポコヘッドにしたのですから、「大阪人の常識」をハズしてはいけません。その上で終わり際に「埼玉ワッショイ!」をやるでしょ!?こんなもん「また関東人が大阪のこと笑っとるわ!」言われてもしゃーないで!
まあ、ここまで怒ってもエンドロールにミルクボーイが出てるとなんとなく許せてしまいます。「滋賀」はコーンフレークの次に好きなネタなので。ああ、そもそもこれだけイジっても、最近は京都より滋賀のほうが人口が増えていることにも触れてほしかった。終わり際に埼玉ワッショイをやるなら滋賀ワッショイもやってほしかった。
さて、言う事全部言うてスッキリしたから、また甲子園の地下で労働に励むか……(大阪在住・洛外出身者)