このレビューはネタバレを含みます
冒頭の桜並木と菜の花の中にたたずむ喪服姿のカットが哀しく美しい。恋人に永遠の別れを告げられたその年の「四月」に、ずっと頑なに閉じこもっている彼女の心が、一瞬にして伝わってきて胸が苦しくなるのだ。中川監>>続きを読む
ロシア語の原題は「非愛」であり単に「愛が無い」というより、より強く「愛の対極」をイメージする言葉だという。ニュアンスとしては「憎しみ」ではなく「無関心」が近いのではないか。ここに登場する夫婦は確かに最>>続きを読む
身体が小さく難読症もあって勉強がまるでできなかった彼は早くからその才能が突出していた映画の世界にしか逃げ道がなかったようだ。逆に言えば運命の神がこの稀代の大監督を何が何でも世の中に産み出そうと必死だっ>>続きを読む
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「父帰る」のアンドレイズビャギンツェフ監督作品。面白かった。端正で静かな画角から伝わってくる、今にも何かが起こりそうな緊張感がたまらない。寝室こそ別であるが、とても仲睦まじい老夫婦に見えるウラジミルと>>続きを読む
1950年代の台湾で国民党政権による政治弾圧が起こる。いわゆる「白色テロ」である。監督としてはこの事件を本当は正面から描きたかったと想像するが、台湾現代史の中で長らくタブー視されてきた題材ゆえに、この>>続きを読む
マルチバース全体から見れば、ランドリー店バージョンのエブリンはかなりの負け組なのかもしれない。だがその落ちこぼれゆえに無尽蔵のポテンシャルがあるという設定は泣かせる。それはまるで未だ何者にも成りきれて>>続きを読む