すずき

スワンソングのすずきのレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
3.9
お金のない老人養護施設で孤独に暮らす偏屈老人パット。
しかしかつては街の富豪達がこぞってパットのサロンに通う、街1番のヘアメイク・アーティストだった。
ある日、昔の顧客であるリタの弁護士がパットの前に現れる。
リタが先日亡くなり、彼女の遺言で葬儀の死化粧をパットに頼みたい、との事だった。
パットは「醜くくたばればいい」と口汚く追い返すが、その夜思い返したのは、かつて愛した人との生活。
パットは恋人と、リタとの間に複雑な想いを抱えながら、依頼を受ける決意をして施設を抜け出すのだが…

死を待つばかりの孤独な老人が人生において、やり残した事やわだかまりを見つめ直していく終活ロードムービー映画。
ずっと施設にいたパットだが、かつての親友の遺言の為、最後の仕事への旅に出る。
だが街は様変わりしており、時代から取り残されてしまったようなパットが、コミカルかつ哀しい。
旅の中で、パットの過去が少しずつ明らかになっていく脚本に惹きつけられた。

ウド・キア演じる主人公パットのキャラクターが凄く良い!
施設にいた時は、どこにでもいそうな偏屈頑固な老人。
だが仕事を受ける決意をした時は、一転ナヨッとしたオネエになる。
パットは古いタイプのゲイで、日本語で言うところのオカマ、英語のドラァグクィーンだったのだ。
ウド・キアの目力の演技が素敵だった。