駆け落ちからの、小屋の雨宿り
冷たい床に寝そべる家族
ニューシネマのトトみたいにキラキラした瞳でフイルムの切れ端を光に透かすシーン
ワクワクするような魅力的な、青い空と灼熱の太陽の光に照らされた、シチリアのノスタルジーが詰まっている。
ジュゼッペ・トルナトーレといえば『ニューシネマパラダイス』があまりにも有名だが、本作もまた違った形で監督の故郷への絶えない愛がラストのラストまで詰まっていた。
2時間半越えの大作で、少年時代の悪戯エピソードも、初恋の甘酸っぱいエピソードも、愛する父親との別れも、 なにもかも駆け足で語られるので、ニューシネマパラダイスのように一つの深い愛に涙が滝のように溢れるものとは違う。
しかし、移りゆく時代、変わりゆく家族に「愛」がさまざまな形で重なり合い、人も周りの環境も変容していく「人生」そのものを描き切り、これもまたエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしいので、作品が輝きを増す。
台詞もまだ、少し象徴的なものをちりばめて、ラストの思ってもない仕掛けに続いていくとても映画らしい映画なのでもっと愛されても良い作品と思うのだけど、、
まぁあの名作「ニューシネマパラダイス」と比べられてしまってるから仕方ない。
私たちは壮大な宇宙の中の時間のほんのひとかけらの人生を歩んでるにしかすぎない。
そして、自分はいく年にも積み重なる先祖の人生の積み重ねの一部だと改めて感じたのは「エタニティ 永遠の花たちへ」を観た以来。
イタリア版、三丁目の夕日的な感覚で是非とも楽しんで欲しい作品でした。