nam

笑いのカイブツのnamのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
3.7
「笑いが好きな一点のみであがきもがいた男の半生」

ラジオは好きですがオードリーのANN自体は聞いていなかったためツチヤタカユキさん自体は知らずに鑑賞。

ハガキ職人→構成作家みたいな流れは業界でもよくいるとは思いますが、この方もそんな中の1人で、深夜ラジオのリスナーといえばどちらかというと陰キャ寄りの方も多い印象でした。彼もまたドのつくコミ障で陰キャながらケータイ大喜利や構成作家経験、有名ハガキ職人と自分の笑いに自信を持ってしまった。

実在のツチヤさんの事を知らないので実際に才能があり面白い人なのか、ちょっと勘違いしてしまった痛い素人なのかというのがなかなか分かりづらく感情移入しきれない部分はありました。

ただ尖っていて自信過剰なだけにも見えてしまうのでそこにはちょっとイライラさせられました。笑いはそう簡単なものではないよなーと考えさせられます。

ただ笑いには一筋で大好きだけどプライベートや仕事でも人間関係やコミュニケーション能力はからっきしなので全て上手くいかない。

岡山天音さんのそんなどうしようもない男の演技は役が憑依したかのような佇まいで素晴らしかったです。もう陰キャにしか見えなかった。

ただ中盤以降のオードリー若林さんに当たる劇中では西寺(仲野太賀)さんのそんなツチヤに対する優しい包容力のある接し方には感動しました。演技はドラマ「たりないふたり」のようにそんな若林さんに寄せてないのですが演技を通して若林さんの優しさが重なって見えてきました。

そしてやはり世間でいきるのは何より最低限のコミュニケーション能力が必要と実感させられました。仮に才能があってもそれを活かせるための手段としてはやはり必要ですね。

ただ結末としても、主人公のキャラ造形的にもなかなか明るい気分にはなれないので注意した上で興味のある方はご鑑賞を。
nam

nam