ろく

笑いのカイブツのろくのレビュー・感想・評価

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
2.7
いまいち乗れず。

笑いの映画は嫌いではないんだ。「笑う招き猫」なんか大好きだし(なぜこの映画を配信してくれないんだ。また見たいのに)、「浅草キッド」も世間の文句もなんのそので好き。ドラマだと「タイガー&ドラゴン」に最近なら「だが、情熱はある」も良かったねえ。でもねえ。

どうにも主役の岡山の立ち位置にぴんと来なくなってしまった。ぼそぼそ喋るだけだし。さらに決め所では日本映画の悪癖である激情演出(とにかく大きな声を出せばOK)が癇に障る。モデルのツチヤが「俺すごいっしょ」って言っているみたい。

脇役は嫌いでないんだ。母親役に北京原人片岡礼子(彼女はいつになったら北京原人に出た過去を払拭できるのだろう)。関西おかんをいい感じで演じている。東京の漫才師(たぶんオードリーの若林がモデル)には日本映画に欠かせない人材になってきた仲野太賀。さらには菅田将賱や松本穂香と芸達者がそろっている。でも肝心の演出がダサくて苦笑するのでこれは監督の責任でもありますよ。

特に岡山と松本が部屋にいき、そのままブラが落ちているシーンなんかホントに苦笑。この監督の「どーだ、これがわかるってことだよ」と言わんばかりの苦笑演出にいらいらが止まらなかった。

結局原作のツチヤタカユキの幼児性がダメだったってこと。その幼児性とは「ほらこれすごくない」ですよ。ヤンキーが頭をリーゼントにしてボンタンを履くようにこの作品では「狂気とはこういうものだ」とばかりの過剰演出を見せる。それがあまりな定型なんで見るものを冷めさせるのよ。

すまん、厳しいこと書いて。「お笑い」の世界は好きなんだけど、そこまで狂気なのかしらんと思っていることがあるんですよ。時に「狂気」を張りぼてに見せている「お笑い」の人が多すぎなんだよって思いもこっちにあるからだろう。最近の松本の件もそんな風に感じています。
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