ぽん

女神の継承のぽんのネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

タイ東北部で霊媒師の取材をするという体のフェイク・ドキュメンタリー。
相当うさん臭い話なのにNHK-BSのドキュメンタリーか?ってぐらいの説得力がある。タイの田舎の風景も女神バヤンの祭壇も、とても神秘的に撮られていて画(え)の力があるのだ。沖縄の御嶽(うたき=祭祀を行う場所)を思い起こさせる。

霊媒師一家の二女のニムは、村人に頼られる立派な霊媒師として生活している。そんな折、ニムの姪、ミンの様子がおかしくなり次の巫女はこの子か?と匂わせる。彼女の奇行はどんどこエスカレートして「エクソシスト」(1973)みたいなお話になっていく。姪っ子を救うために奔走する巫女のニムが、頼れる姐さんって感じでカッコイイ。自分だってなりたくてなった訳じゃないのに、置かれた場所で咲いてる彼女の覚悟と責任感にはグッとくるものがある。

クライマックスは除霊の儀式で、鬼畜大宴会なラストに頭、真っ白。なんなんだこれはと。こういう本気度MAXでくる壮大な悪ふざけみたいな作品、好きです。

まぁ「悪ふざけ」は言い過ぎかもだけど、やっぱり悪趣味だなーと思わざるを得ないのは、ひとえに最後のニムの述懐。
え、そこ、確信してなかったら貴方の人生はなんだったんですかっていう。「ダウト~あるカトリック学校で~」(2008)のラストを思い出す。

こんな風に、堅固だったはずの土台が突如ユラッと揺らぐような、心がフワッと迷子になっちゃうみたいな、ブラックホールのような虚無を突き付けられて終わるのが相当コワイ。
最終的にはホラーとは別次元の哲学的な恐怖になるのですね。
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