ユーライ

THE FIRST SLAM DUNKのユーライのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.6
スポーツや部活といったものに対する不信から警戒していたが、終始「これしかない」と納得させられる迫力に負けてしまった。1カット単位で検討を重ねた結果の説得力がある。映画として特別上手いとは言い難いが、実写邦画的な感傷演出の下手さではない。冒頭、海岸にある秘密基地でうずくまる兄を見つけてしまうショット、ここをあっさりと切って場面を移行する速さから信頼出来る。異業種ながら“映画”をやろうとする意気込み。原作読破が前提のようなコンセプトの一点突破は東映繋がりで近年の庵野作品に通じる。しかし、二時間ぶっ通しで行われる試合でひたすら動き続けるCGのキャラクター、挿入される回想で登場する海=死のイメージによって、あの試合のコートが遠い彼岸のように見えて来るのは何でだ。三井が限界に来ても倒れないのは「死なない身体」であるからではないか……というような洒落臭い邪推を抜きにしても、これを見たらうっかりバスケを始めてしまいたくなる。そういう勘違いをするので良い映画なんだと思う。
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