トッシー

THE FIRST SLAM DUNKのトッシーのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.3
中1の時、モテたくて
バスケットボール部に
入ったんですよ。

最初は良かったんだけど
練習とか、先輩との関係とか
だんだんしんどくなってきて…

約1年半でね
顧問の引き留めも振り切って
思いっきり辞めてしまいました!

同じように不純な動機スタートでも

花道みたいにバスケを好きには
なれなかったですわ…

そっからはバスケ部の
友人を見かけると
何だか罪悪感を感じるように
なったりしてね。

話しかけられんのも
嫌だったから
ちょっと気配を消し
廊下の隅に同化して
やり過ごしたりしてた。

だから、
『SLAM DUNK』の原作も
全部、読んだんですけど
あんまり好きには
なれなかったですよね。

もう、完全に個人的な
理由からなんだけど

読んでると
「あっ、何か、あっ、あっ、
ご、ごめんなさい!!!!」
…って罪悪感が沸いてきて

中学の廊下の隅を
思い出すんですよ。

けど、あれから大分
年月もたったことだし

今ならきっと
フラットな気持ちで
『SLAM DUNK』に
触れられるんじゃないか?

廊下の隅も
思い出さないんじゃないか? …と

しかも、監督はまさかの
原作者、井上雄彦。
皆さんの評価も爆裂高い。

これは観るしかないだろと。

いくしかないだろと。

これこそが俺の
『SLAM DUNK』初体験!!!

…くらいの勢いで観ました!

そしたらねえ。
やっぱり面白かったですね!
『SLAM DUNK』!!!



今回の映画は
主人公に桜木花道ではなく
宮城リョータをもってきて
原作クライマックスの
山王戦を描きます。

加えて宮城リョータの
バックストーリー、
リョータとその家族の物語が
試合と同じくらいの
分量で語られ
要所、要所で挿入されるのです。

このバックストーリーが
良かったですね。
原作では描かれなかった部分で
井上雄彦っぽいと言うか…

『バカボンド』とかも
ちゃんと読んだことないんで
はっきりした井上雄彦っぽさは
正直よくわからないんだけど

独特の「間」と「雰囲気」。

淡々していて、ドライに、静かに、

それでいて丁寧に、繊細に…

直接的には表現せずとも
そんな絶妙の空気感で
キャラクターの心情を
緻密に少しづつ積み重ねてゆく…

この感じが僕の思う
井上雄彦っぽさなんですが

この辺りの風味は
極めて映画的だと感じたし
映画との相性が良いなあと思って
リョータのバックストーリー
凄く好きでしたね。

そして、そこの対極にあるのが
極めて少年漫画的(少年ジャンプ的)
である試合のシーン!

派手さと、スピード感と、ケレン味!
そして斬新な映像表現!

この少年ジャンプ的 娯楽性も
やっぱり映画と
相性抜群ですからね!

だからこの映画の構成は
静と動!

「井上雄彦」と言う作家性を
核として接続された
手触りの違う映画的快楽の
両面 波状 連続攻撃なんですよ!

そしてラスト。
あのカタルシス!!!

そりゃあ、
テンションブチ上がりますよ!



だからこの映画は
Filmarksに定期的にレビュー
あげてるような映画ファン層にも

普段、映画をあまり観ない層にも

昔、バスケ部だったけど
色々あって中学の廊下の隅が
バスケのイメージに
なってしまった層にも

幅広く響く、普遍性をもった
エンターテインメントに
仕上がっていたと思います。

本当に良くできてますよね。

井上雄彦すげーな。

漫画も映画もいけるなんて
すげーですよ。



それにしても、このパターンなら
まだまだ色々できそうですよね。

原作には名試合がまだまだあるし、
主要キャラクターも
あと4人いますからね。

三井だけはバックストーリー
ちょっと原作でやってたけど

他の3人はほとんど
やってなかったんちゃうかな?

流川も私生活、謎だし
花道の髪が赤い理由なんかには
何かドラマがありそうな気がしますよ。

桜木軍団との出会いとかもね…

その辺は今まで
やってなかったと思いますからね。
多分やってなかったんちゃうかな?

正直、廊下の隅の印象が強すぎて
あんまり覚えてないけど
多分やってないはず…

だから、映画のパート2にも
期待しちゃいますよね。



…いやあ、面白かった。
これだけ人気があるの分かりますね。

『SLAM DUNK』
ほとんど初体験だったけど
観て良かった!

中学の廊下の隅を
思い出してる暇なんか
全くなかったでございますし、

逆に母校の廊下の隅が
キラキラと輝き出したような
気さえしますからね!!!



まさしくこれが僕の
『THE FIRST 』!!!

最高の『SLAM DUNK』初体験!
…でございました!!!

2023-2
トッシー

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