ウェス・アンダーソンらしさがぜんぶ詰まった愛すべき作品♡
言うまでもなく色彩のチョイス、シンメトリーな画、いい意味での抑揚のなさは抜群のセンス。
ストーリーはというと、まず設定の理解から難しかったけど、それ込みでウェス。
舞台
舞台を紹介する番組
舞台の裏側
の3層構造。
アステロイドシティは極めて無機的。舞台作品であることがわかっているから、徹底的にリアリティがないところが面白い。
観ているほうは、はじめからすごく客観的な気持ちにさせられる。
そしてリアリティがないのをいいことに、めちゃくちゃに遊んでいる。
宇宙人!(舞台裏のシーンで宇宙人が着ぐるみだったのもツボ)
未知との遭遇を彷彿とさせる謎のピコピコした機械と未確認飛行物体登場シーン。
宇宙人は、争いをしにきたのではなく、ただ静かに隕石を持っていった(彼の星の属物?)だけだが、見てしまったアステロイドシティにいた人たちは、宇宙人をどう捉えるか、それぞれで議論し、考える。
他者への理解、これはひとつテーマだったように思う。
オーギーの息子、ウッドロウは超秀才だが、対人関係が苦手なようで、でも熱い想いを秘めている。好きな子ができたら一途で、こういった人物の描き方もウェスらしくて愛らしい。
オーギーとミッジの距離感も好き。
住所ではなくて私書箱の連絡先をもらったというところもにくい。
最後の、You can’t wake up if you don't fall asleepの連呼は何を意味していたか。
現実を生きるためにはアステロイドシティのような虚構の舞台が必要である、ということなのか。
全てのシーンにおいて語り合うことのつきない、面白い作品。