家族愛、故郷愛にあふれた彩り豊かなヒューマンストーリー。
白黒で描かれる映像に、ケネス・ブラナーの記憶する情景、あたたかさ、やさしさを感じる。
この後長く続くことになる北アイルランド紛争のはじまり。宗教(宗派)が違うという理由で争う大人。子供は純粋だから、なぜカトリックは悪いのか、どうやってカトリック教徒を見分けるのか、好きな子がカトリックだ、なんてことを考えなければいけない。残酷。
みんなが家族だったかつてのベルファストは変わっていく。
なにを大切にするか。正解のない難しい選択をしなければいけない苦しさに、胸が痛くなる。希望を持って生きていくための選択。
終始、暗い出来事が起こるのだけど、それもこれも、子供としては家族との日常の中で起こる出来事なのだ。劇中の音楽の平常さが、そんなことを思わせた。
ジュディ・デンチ演じるおばあちゃん、愛おしすぎる。