manaminie

アステロイド・シティのmanaminieのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.6
観た直後は、面白いけど少し物足りないな、という気持ちでした。

“You can’t wake up if you don’t asleep”というフレーズがキーになっているように、映画の始まりと終わりでは一見、何も変わらないように見えて確実に何かがもたらされている、という古典的な構成美が、いつものウェス映画よりあっさりしているなと感じる理由なのかも…?

レトロSF、家族の物語、バンズ・ウィジェット、ムーンライズ・キングダム、といったエッセンスに、劇中劇(舞台内テレビ内映画内脚本?)の幕と場面が組み合わさって展開されていく。
足止めされた人々に生まれる連帯感とラストのあっけなさは「南部高速道路」みたいでもあり、パンデミック時のロックダウンの風刺のようでもあり。

ひとつひとつの要素は普遍的なのだけど、画き割じみた砂漠の色彩と、いつもながらの天才児たちのセリフ回しやカメラワークで飽きない。

電話や核実験、隕石と国家権力をめぐるアイロニカルなドタバタ劇で1950年代という設定を存分に生かしている。

ただスカヨハが女優役であることで、演じるとは何か、というメタ描写がより複雑になっていて、回収されきってはいないように見えた。
でも彼女が隣の窓から台本を読むという構図がなければ物語が動かないのもわかる…
そしてマーゴット・ロビーが出てくる一瞬だけどとても象徴的なシーンも。構図だけ見るとロミジュリやウェストサイドストーリーみたい。

星座の名前の三姉妹たち、クレジット見る限り本当に姉妹のようで子役のキャスティング本当にさすがだなと思った。
manaminie

manaminie