いち麦

アステロイド・シティのいち麦のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.0
優秀な頭脳を世界制覇に利用しようと子供の頃から懐柔しようとする米軍の如何わしさ、それを突破し超えていく異能の子供たちの一風変わったエネルギー。それぞれの事情を抱えてもがく大人たち。いつもの拘った構図とカラフルなウェス・アンダーソンの映像世界をモノクロで包み込む二重の入れ子構造。でも多分、昔の監督だったら芯になる子供たちの科学賞授賞式エイリアン騒動だけで、もっと楽しい作品ができただろうなぁと思ってしまった。
斜め上へ捻ったような、すんなりとは頭に入りにくい台詞が多いので見直してみてようやく細部まで理解したが、だからといって入れ子構造の物語が面白く感じられるようになった訳でもなく…。エイリアンの動作など思わずクスッと吹き出した場面もなくはないが、コミカルな台詞やネタも何だか笑いを取りにきてるのがミエミエで笑えないものが殆ど。豪華なキャスト勢はまるで幼児向けアニメーションのような動きが多く(狙った演出なのだろうけれど)、ますます個性も優れた演技力も殺されており、もはや登場することだけがネタになっている感。
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