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夢の涯てまでも ディレクターズカット 4K レストア版のshelbyのレビュー・感想・評価

3.7
この映画の評価がそこまで高くないのもよく分かるけど、5時間近いボリュームにも関わらず個人的に割と満足度が高かったのは、やっぱりすみずみまで美しい映像とこわいくらいハマりすぎてる音楽の力かも。

前半の放浪編、後半の帰郷編までは話の整合性がある程度なくてもまぁいいとして、どう畳むんだコレと思っていたら、ラストスパートの脈絡のなさはちょっとすごい。
悪夢編ともいうべき映像体験は刺激的である一方、全編を貫く「イメージ転送装置」という軸はあるにせよ、ストーリー的には流石に支離滅裂。夢を通じて映像として見ることが可能になった幼少期や失った子供との「幸せな記憶」に強烈に依存してしまうという流れは、主人公らのバックグランドが詳細に描かれていないせいか、何となく腑に落ちない。心が壊れかけた主人公の女性が物語の持つ癒しの力に触れるパートでは村上春樹と河合隼雄の対談本も思い出された。

最後まで見終わって「夢の涯てまでも」ってタイトルは比喩じゃなく、ある程度映画の内容そのものを伝えていたんだ~と思ったら、原題はUntil the End of the Worldって、結構ニュアンスが違う。
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