ルナ

イノセンツのルナのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
2.4
「好奇心は猫を殺す」って英語の諺がありますが、この映画がまさにそう。
「無垢(イノセンツ)」な好奇心は、ミミズを踏みつけ、猫を殺し、そして最後には……。

団地に住む子供達四人を中心に起こる、サイキックホラー。超能力に目覚めた子供達が、段々と狂気的とも言える子供特有の好奇心によって、その身を滅ぼしていくお話。

ジャンルは一応ホラーなんですが、美麗な自然の映像と団地という身近な場所、そして誰しもが通る道である子供が中心に物語が描かれていたことで、恐怖よりは美しさや懐かしさを感じました。
ただ、ちゃんと怖いホラーシーンもあります。

子供の頃、誰もが体験したことのある、なんて事ない無垢な罪。
蟻を踏み潰す、蝶の羽をむしる、蛙を天日干しにする、ザリガニを踏み潰す、etc……。
自分よりも小さな生命を玩具にすること、それらは決して罰せられることはありませんが、罪悪感として心に残り、善悪の分別の糧となります。
そうです。子供の頃に悪いことをするから、大人になってはじめて善悪が分かるのです。
無垢な子供とは、決して尊ぶべき存在ではなく、どこまでも残虐で、純粋で、染まりやすく、そして無邪気な恐ろしいもの。
その無垢な子供が、大人をも凌ぐ大きな力を得たらどうなってしまうのかという恐怖。
そういったものが感じられる映画でした。

個人的にはあんまり内容は合わなかったですが、ラストシーンはかなり印象的で好きです。
子供時代の母親って、安全基地で安心できる存在ですものね。作中めちゃ頑張ってた主人公イーダも、ちゃんと一人の幼い子供だったんだなぁと再認識しました。

キャラとしては優しい女の子、アイシャちゃんが好き。クソガキのベンは嫌いですが、彼の気持ちも良く理解できます。

"Curiosity killed the cat. But satisfaction brought him back."
ルナ

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