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パラレル・マザーズのせっのレビュー・感想・評価

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)
4.5

自分と同じ日に出産をした若い母親アナの子供と自分の子供が取り違えられたことを知りつつ、それを隠しながら若い母親と共同生活を送る話。

今作、今の映画には珍しくめちゃくちゃ血の繋がりを大事にする映画。単純に取り違えられた子供をどうする?という話だけでなく、やたら子供が誰に似てるか気にする登場人物達や(ほぼレイプなのにその中から誰に似てるか探すのはちょっとさすがに引いた)、自分の本当の子供だとわかった瞬間あっさり連れて帰りやがるアナ。

さらに、毒親でも母親との繋がりを途絶えさせないようにアナに説得する主人公など、血の繋がり否定派な私にとってはちょっと合わない部分もあった。

でも、ここまで血縁にこだわるのは根底に内紛によって無惨な死を遂げた先祖に対する思いがあるから。劇中に出てくる曾祖父や祖父の骨を探している人々は皆、当時幼かったのでほぼ神話のような人から聞いた家族の話を家族の思い出として大事にしている。

この人達と、家族との関係が上手くいっていないアナや子供のルーツを隠そうとする主人公が対比されてるのかなぁ。自分も実の親とはほぼまともな会話がないからね、反省したよ、少しはね。

自分の血筋から目を背けることは決して許されない、という強いメッセージが赤色で強調されてるけど、今年公開された、血筋を否定してる『ハウス・オブ・グッチ』とは真逆の使い方で面白かった。

重い話でもあるけど、普通にスペインの裕福な暮らしが見てて楽しかった。そして主人公イケすぎ。基本的にずっと股開いてる座り方なのもかっこよかったし、私には好意的に映った。
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