メイマーツインズ

The Hand of Godのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

The Hand of God(2021年製作の映画)
4.3
《神の手、それは人間の強い意志…》

イタリア映画の名匠・パオロ・ソレンティーノ監督の自伝的作品。
Netflixにて初鑑賞。

イタリア南部の港街ナポリ。
南米のような雑踏とした雰囲気が漂う、人情味のある美しい街。
イタリアに行った際、男の自分としてはローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアよりも心地良さを感じ、魅力的だった。
そんなナポリで生まれ育ったパオロ・ソレンティーノの視点から、1980年代に生きるナポリの人々を情緒的に描いている。
フェリーニへのオマージュが伝わる、幻想的で芸術的な映像世界。

誰もが登る大人の階段…。

ナポリの英雄マラドーナへの憧憬、美しい叔母への恋心、最愛なる存在の喪失、そして映画の世界で生きる強い願望。
それらを通しながら、大人の階段を登る青年ファビエットの姿がとてもノスタルジックだ。

フェリーニ、ジュゼッペ・トルナトーレに続き”イタリアの心〟を継承するパオロ・ソレンティーノ。
フェリーニ作品ほど感性を求められず、トルナトーレ作品よりも優雅で官能的、それでいてイタリアの温かさも感じることができる。
そんなパオロ・ソレンティーノが描く世界が今の自分にはしっくりくる。
彼の世界にもっと触れたくなった。
”グランドフィナーレ〟”グレート・ビューティ〟も観てみよう。


2021年に観たかった映画シリーズNo.3