ねこねここねこ

死刑にいたる病のねこねここねこのネタバレレビュー・内容・結末

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

阿部サダヲが大好きだから観た映画🎬
阿部サダヲって憑依型の役者だと思う。
今回みたいなサイコパスやらせると本当に背筋がゾクっとするし、演技の幅がものすごい人だね。
W主演の水上恒司(当時は岡田健史←改名してるけど全く別の名前過ぎない?普通は漢字だけ変えるとかなのにね)も頑張ってるのだろうけど、ボソボソと喋って聞き取りにくい。そういう暗い性格の役なんだろうけど。どうしても阿部サダヲが主演だよね。獄中のシーンが多いのに、目チカラすごくて圧巻。
筧井の母親役の中山美穂、相変わらず演技下手だな😰 もうすっかりおばちゃんになり、若い頃みたいに綺麗さで誤魔化せないからねー。


冒頭、川の水面に散らしている花弁のようなものが実は拷問で剥がした生爪😱💧
それだけでもギョッとするのに拷問シーンがエグい。ラストあたりで逃げる女性の足の傷口を押すシーンとかもエグいし、それで苦しむ女性を見て嬉しそうに笑うシーンも怖すぎ!
優雅に紅茶を飲みながら縁側から眺める庭の木の下には灰になった人骨💀💧

勤勉で人当たりの良いパン屋榛村大和(阿部サダヲ)は実はサイコパスなシリアルキラー🗡
信頼関係を構築してから苦しめるって💦もうそんじょそこらのサイコパスではない。サイコパスだから何の罪悪感もなく良心の呵責もない。でも日常生活の中ではそんな素振りは微塵もなく思いやりのある真面目なパン屋として振る舞っている。
しかも舌鋒鋭く人の心の奥深くに入り込んではマインドコントロールする。
ターゲットは親から抑圧されてる子供。

中学生の頃、榛村 のパン屋のイートインコーナーをよく利用していたFラン大学の学生筧井(岡田健史・現在は水上恒司)は榛村の「最後の事件は冤罪だ、犯人を見つけて欲しい」という願いを叶えるべく榛村の弁護士事務所のアルバイトとなって事件を調べてゆく。
その過程で榛村が自分の父親だと思う。ショックを受けるどころかなぜか妙な昂りすら覚える筧井。この辺りがもうマインドコントロールされてるんだよね。
それにしてもFラン大学の学生の割には鋭い推察で事件に迫ってゆくあたりはやや違和感。その部分はやけに賢いんだねーとか言いたくなる。将来は弁護士になるほどの頭脳はないみたいだけど探偵🕵️‍♂️ならなれそうだよ。
そしていくらFランの大学にしか進めなかったとしても実の息子に冷たすぎる父親にも違和感満載。

しかし事件の真相に迫るほど逆に榛村への疑いは増してゆく。

結局筧井は榛村の思う通りにはならなかった。罪悪感を抱かせて長く苦しめる予定の青年は思い通りに罪悪感に苦しめられていたものの、その青年の告白によって筧井は榛村が最後の事件も犯人だと気づいてしまう。しかし榛村にとっては獄中からでも操作できるコマが1つ消えたに過ぎない。刑務官すらもマインドコントロールしているような榛村にはまだまだコマはたくさんあるのだから…。

ラストに榛村の呪縛から逃れた筧井が、中学の同級生で大学で再開し、恋人となった女子大生も既に榛村の信者のようになっていて、呆然とする。二人は恋人として関係を続けられるのか?続けられなくなったら筧井の身体の一部を奪いかねない雰囲気が怖い😱💦

私たちの日常生活の中でサイコパスに出会う可能性は低くてもゼロではない。
サイコパスはいわゆる反社会性人格障害なのだが、ある種魅力的であったりする。良心の呵責がなくまっとうな罪悪感もない彼らは普段から対人関係が構築出来ずに極端に無愛想かというとそうでもない。
この映画のように、いつも行くパン屋のマスターがニコニコして黒目がちのつぶらな瞳で真っ直ぐ見つめて来て、自分の大変さに共感してくれたり優しくしてくれたら、高校生くらいならイチコロで信じてしまうだろう。知らない人にホイホイついて行くタイプではなくても、こんな顔見知りのパン屋のマスターには着いて行ったとしても誰も責められない。そういうことを熟知して犯罪を犯すのだ。だからそれまでの下準備に要する時間や手間を惜しまない。用意周到に張り巡らされた罠である。
残念ながら一定の割合でサイコパスが存在する以上、こうした犯罪は起こり得るし、100%防止することも不可能なのだ。

そしてもっと怖いのはこうしたサイコパスに同調してしまう人間がいることだ。同調したりマインドコントロールされたり。
実際、酒鬼薔薇事件の後、少年Aに憧れる少年たちが結構社会問題になっていたわけだし、一時は「キレる17歳」という言葉も流行っていた。少年Aと同い年の少年たちが西鉄バスジャック事件を起こしたりしていた。どこをどうすれば少年Aに憧れる感情が芽生えるのか理解に苦しむが、死刑にいたる病が伝染する可能性があるということなのだと映画を観て思った。