ザビエル

ある男のザビエルのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

物語の全容が複雑ということもあって度々置いていかれそうになる時もあったが、
それは己の解析力不足によるもので、
とても精巧に作られた作品だった。
冒頭の安藤さんが文房具店の仕事をしながら静かに涙するシーンに初っ端から圧倒された。万引き家族でもそうだが安藤さんの泣きの演技は本当に惹き込まれる。
ダイナミックに何かが起こるというわけでもないが、淡々と進んでいく物語の中に
水たまりに落とした油が歪んでいく虹色のようにそれぞれの人間の描写が感じ取られたり、じわじわとわかっていく事件の全容が頭を回転させ続ける要素として大きく、
静かなストーリーだと寝てしまいがちな自分も全く眠くならなかった。
想像の余白がとてもバランスよかった。
特に戸籍を売っていた罪人と話すシーンはいい意味でとても気持ちの悪いシーンだった。
一つの物語に家族、人種差別、罪人の子の差別と多様なテーマが盛り込まれていたがそれらが一本の線のように違和感なく繋がっていた。芝居くそうますぎ。
ザビエル

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