ザビエル

茶飲友達のザビエルのネタバレレビュー・内容・結末

茶飲友達(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

テーマと内容がとても今の世の中に対して考えさせられる良いものだった。
ハッピーエンドで終わらず世間のルールによって個人の思いはなきものになり、壊される様は万引き家族を彷彿とさせた。
その中にも母が訪ねてきたり、
警察官の女性の言葉は的を得ているものもあったのは完全に世間に殺される表現をしていた万引き家族との違いであり、
どちらもとても好きな終わり方だった。
怒り沸くけど。
この映画を観ていると本当に社会的弱者とされる老人やシングルマザー、女性がいかに生きづらい国なのかがよく分かる。
不倫して妊娠させたクズ男は、たまたまシングルマザーの人の周りに、彼女を守ってくれるコミュニティがあったからよかったけど、大抵は助けられずに生きている人が多いんだろうと考えると、主語を大きくしてはいけないとわかりつつも、そのような男性達や、少子化対策と言っておきながら全く助ける気がない国の制度にはらわたが煮え繰り返る思いである。
こういった現状を表現しているこの映画は本当に多くの人の目に触れてほしいと感じた。
外野からみたら売春=汚い、可哀想な人達といった価値観がいかに偏見に塗れているか、かといってとても良いものというわけでもなく、そこには一人一人の人生が絡んでて一言で決められるものではない。
でもそれはなんだってそうだと思う。
ティーガールズに入る前に万引きもして自殺しようとしていた時と、その後の生き甲斐を見つけた若葉(歳を重ねた自分に可能性を見出せなかった人がこの名前を源氏名としたところも胸を打たれる)さんの印象の差が如実でとても印象的だった。
まなさんの序盤はマイナスなところなど何一つないマザーテレサのような人間性に
嫌悪感を感じ、この人も酷い目に合うシーンを待っていた自分に対して反吐がでる。
実際彼女も家族の角質や売春していた過去があり、最終的には茶飲み友達のメンバー全員に裏切られることになった結末はそれでもしんどかったけど、えげつないほどにリアルだった。
最後におめかしをして茶飲み友達の電話番号が書かれた新聞の切り抜きをタンスから出して、繋がらないことに絶望している描写はきつすぎた。
ネットだと消えてしまったことが検索すればすぐに分かったり、ニュースを見ていて気づいたりするかもしれないが、
そういう繋がりがない人は宝物のように大切に切り抜きをタンスにしまい、電話をかけるまで廃業した事実に気づくこともできないのだということを短いシーンの中で
とても残酷に表現していた。
若者の男性はティーフレンドの女性達を下に見ていたり、儲かるビジネスと捉えている発言が多かったが、それだけではない多面体な人間関係もとてもバランスよく描かれていて、心が動かされまくった。
そうだよな、人間て0か100じゃないよなと。パン屋の寄せ書きは少し綺麗事すぎるのかなとも感じたが、映画なのだからそのような希望を添えることができるのが映画なのだから。だからこその映画なのだと感じた。映画の良いところが詰め込まれた作品だった。
ザビエル

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