ばきちゃん

ある男のばきちゃんのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.9
平野啓一郎の本は好きでよく読むのでこの映画も前から見たいと思っていて、ようやく鑑賞しました。聡明な(私はそう思ってますが)作者の原作らしく、示唆に富む映画でした。戸籍とか、出自とか、大事なことかもしれないけど、こうしてみると、個人の幸せのためというより、社会秩序を守るために必要と思わされているもの、統治管理のためのものかな?なんて思いました。妻夫木聡の役柄は弁護士で、職業柄、さまざまな人生の裏側に触れることも多く、神経削られる大変な仕事だなぁとつくづく思いました。自分の出身も絡んで、感情移入して揺れ動く様子から目が離せない感じでした。窪田正孝も安藤サクラも、期待以上の演技だったと思います。不穏な題名だし、予告の暗い映像もあり、確かに見てても辛くて苦しい場面も多かったのですが、謎解きみたいな興味も沸き、真相が明かされた後は、爽やかさも感じられる結末でした。大事なのは名前より、その人と暮らした確かな日々の方だと、温かい気持ちにもなれました。それにしても、差別とか、映画の中でも嫌なもので、ヘイトスピーチとかほんとやめてほしいです。
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