ロビン

さがすのロビンのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
3.7
“さがしものはなんですか?見つけにくいものですか?鞄の中も机の中も探したけれど見つからないのに、まだまださがす気ですか?”
『娘はがさがしていたのは、はたして父親の行方なのかそれとも。。』

かなり評判の良い作品なので久しぶりに邦画を劇場鑑賞。
2017年の座間9人殺害事件をモチーフにしたと思われる今作。
それと個人的には劇中での山内の言動から、相模原障害者施設殺傷事件も重なる。

あの「空白」の娘役の女の子(伊東蒼)が冒頭から全力疾走していたなのでまた車に轢かれるんじゃないかとヒヤヒヤして観てたら、今度は自分じゃなくスーパーで父親が万引きしたのを引き取りにきたのにはかなり笑う。

それと佐藤二朗ってコメディで笑わせる役多いけど(特に福田監督作品)個人的にはあの風体はどこか狂気性を秘めている感じがしていて本作の役柄も合っていたかなと。

懸賞金300万円の連続殺人の指名手配犯を見たという父親が失踪する。
娘が父親の日雇い現場に探しに行ってみると、そこにいたのは父親の名前で働いていた別人だった。。
序盤でのストーリーからは想像もできないほどテーマが深くて、父親の失踪の理由が明らかになっていくあたりから予想外の展開になっていく。
貧困家庭、雑然とした家の中、日雇いの父、寂れた卓球場。。
大阪の西成が舞台というところが、なんだか妙に生々しく感じる。
ある意味人の脆さ、危うさ、愚かさを3人の視点で観ることになるけれど、それは社会と切り離すことができない問題や葛藤でもあり“生きることとは”“死ぬことととは”という明確な答えを出すことのできない重い問いかけを、観てる側に突きつけてくるように感じる。

そして娘の楓の描写が何とも言えない。
自堕落な父親を反面教師にして、真面目で健気な娘とは全然なっていない。
ドリンクの容器を人の家の玄関にポイと置き去る、小さな子どもがゼリーを欲しがっても交換してあげない等々品行方正とは言えない。
父親が頼りにならない、あんな環境に居たらタフに生きなければならないのは分かるけど、学校の先生が連れてきた施設のシスターに唾を吐きかけるのはいくらなんでもやり過ぎ。

【ネタバレ】
  ↓











原田が山内を金槌で殴りつけた時に倒れたクーラーボックスからビールがゴロゴロ出てくるシーンが好き(てっきりバラバラにした死体が出てくるのかと思った~笑)。
二人で飲むために山内が用意したのかなと思うとなんとも言えない気持ちになる。
まさか原田に裏切られるなんて思ってなかったんだろうなと。

それと三百万が六万だったオチも良い。
あれで逆に警察に疑われなかったんだからね〜笑

ひとつ気になったのは、母親の一件が警察としてどう処理されていたのかというところ。
彼女の身体的状況から考えると、どう考えても1人であんな自殺の仕方するのは無理がある。
それを警察が放置なんてことがあるのかなと。
それと観終わった後“娘は母親が死んだ時からずっと父親のことを、怪しいと思っていた”という風に思えてきた。
彼女が本当にさがしていたのはその“真相”なんじゃないかなと。
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