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有り、触れた、未来のkassyのレビュー・感想・評価

有り、触れた、未来(2023年製作の映画)
3.9
試写会にて

コロナ禍で表現者の自殺者が増えた事に心を痛めた監督が、なんとか生きる力を与える作品を作れないかと3年前に本作を構想。
しかし大手の配給会社の反応は思わしくなく、監督の想いに共感した俳優集団が映画制作をサポート。協賛企業探しやスタッフとして奔走したそうだ。

本作の舞台は石巻。
震災で家族を失った遺族や、事故で彼氏を失った女性、中学教師、ボクサー、劇団員、居酒屋の店主など様々な人々が絡み合う群像劇。
かなり世間は狭い

とにかく監督の想いが伝わる、エピソードてんこ盛り、これでもかというくらいに熱い。こんなに盛り込まれたら涙が出ないわけない。色んな人のエピソードに涙涙涙。

生きろ、とか生きたい、と声高には言わないのが本作の凄いところだ。
絶望の淵にいる人々の心にエネルギーを注入する。みんな生きてるだけで頑張ってるから、ただ背中を押してくれる。

コロナ禍で不要不急と言われてしまったエンタメの力を改めて信じたい。そんな気持ちがひしひしと伝わってくる。

ラスト、いくらなんでも盛り込みすぎではと思わないでもなかったが、監督の熱い想いを聞いたらもう何も言えねえ。
誰が彼の気持ちを貶すことが出来るだろうか。

私の周りにも今生きる力を失っている人がいるので、最初は見ていて辛かったが最後まで見て本作をおススメしてあげたいと思った。私も生きる力を与えられる人で在りたい…

エネルギー溢れる力作だった。素晴らしかった。


【アフタートーク】
登壇者
山本透監督、UNCHAIN10+1の皆様

青い髪の女優さんは原作者の娘さんだそうで、このプロジェクトをずっと支援していたそう。

死んだ元彼役の俳優さんは歌も下手で音楽の才能もなかったがギターを弾けるように猛練習したそう。同じくバンドチームも太鼓チームも、俳優の挑戦として2ヶ月前から取り組んでもらいお互いのチームを鼓舞しながら弾けるようにしたとか。
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